2006年07月31日(月) 19時24分

検察が無罪求刑　ひき逃げ事件で１０カ月勾留の男性（朝日新聞）

　東京都世田谷区で昨年６月に発生したひき逃げ事件で危険運転致傷などの罪で起訴された後、新たに犯人が判明し、勾留（こうりゅう）から１０カ月後に釈放された神奈川県相模原市の塗装工、藤佐悦寛さん（２８）に対する公判が３１日、東京地裁であった。検察側は論告で、「男性（藤佐さん）が犯行をしていないのは明らか」として、無罪を求刑した。判決は８月２３日で、無罪が言い渡される見通し。

　藤佐さんは昨年８月に逮捕され、藤佐さんの後輩２人＝危険運転致傷などの罪で起訴＝が真犯人として逮捕される直前まで、１０カ月間、勾留された。

　閉廷後、藤佐さんは「ほっとしている。早く自由になりたい」とする一方、「論告で謝罪して欲しかった」と話した。

　論告で検察側は、藤佐さん逮捕に至る経緯や、後輩２人が容疑を認めた状況を詳述。「罪を押しつけた後輩２人の証言が具体的で、藤佐さんにはアリバイがなかった」などと釈明した。これに対し、弁護側は弁論で、「捜査を十分に尽くさず、安易に後輩の供述に依拠した」と批判した。

　東京地検の岩村修二次席検事は「本件を今後の教訓とし、一層適正妥当な捜査処理に努めたい」とコメントを発表した。

http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY200607310532.html