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消費者金融からの借金を重ねる多重債務者を支援する生協の活動が広がってきた。
家計管理の相談やカウンセリングを行い、必要に応じて生活再建のための資金も融資する。近く、東京でも多重債務者に対応する新たな生協が設立される。
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「生活サポート生活協同組合・東京」の設立総会が今月、都内で開かれた。設立発起人には「生活クラブ生協」などの生協の関係者や学者らが集まった。今後、都の認可を得て正式に設立され、多重債務に悩む都内在住・在勤の組合員の相談に乗る。
家計の総合的な診断を行う「家計クリニック」や、ギャンブル依存などの悩みと向き合うカウンセリング、利息制限法に基づく金利の再計算などを行い、生活再建の相談に応じる。弁護士や司法書士も紹介する。組合員となるために必要な出資金は5000円。家計クリニックの相談料は5000円。最初は相談員4人で、年間2000件の相談を受けることを想定している。
相談者に融資を行うための有限責任中間法人「生活サポート基金」も昨年末に設立された。生活再建が可能と判断された場合は、基金が年利12・5%以下で資金の融資を行う。
一般市民から広く出資を募集する「市民ファンド」で、現在まで約1000万円の基金が集まっているという。目標は5億円。金融事業を行うことを都が生協の事業として認めなかったため、別法人となった。
同基金では「消費者金融では出資法の上限29・2%に近い金利を取っている。多重債務者と消費者金融との関係を終わらせるため、より低利の融資を行う。事業を安定させて、さらに利率は下げたい」としている。
多重債務者を対象にした生協としては、1969年に設立された「岩手県消費者信用生活協同組合」が知られる。生活再建の相談と、低利融資の2本立てで活動している。自治体と金融機関の協力を得て、年9・25%で返済資金を融資する。現在、年間5000件の相談を受けている。
生協組合員を対象にした債務相談や貸し付け事業は、「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」(福岡県)も8月から開始する。他県の生協でも同様の動きがあるという。
「生活サポート生協・東京」の設立発起人で生活クラブ生協・東京の専務理事、村上彰一さんは「厳しい経済状況が続いており、組合員の生活再建が大きな課題になっている」と話す。
柴田武男・聖学院大教授(金融市場論)は「一つの借金を返済しても、生活が破たんしたままでは、また借金を重ねがちで、真の解決には至らない。生活を立て直すため、融資やカウンセリングを行う相談機関が必要になっている」と話す。
多重債務者は全国で200万人を超すとみられ、社会問題となっている。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20060729ok02.htm