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脱会者や支援者の調査によると、これまでに全国各地の50を超える大学で信者の存在が確認された。国内の信者約2000人の6割が集中する首都圏では東京大、筑波大、千葉大、早稲田大が多く、2〜3割を占める関西では、京都大、大阪大、関西大などだ。地方の主要都市を含め、国公立・有名私立大の学生が軒並み取り込まれている。信者のほとんどが大学の現役学生や卒業生という。
関西学院大(兵庫県西宮市)では00年4月、新入生の男性が男女4人組に「何かスポーツをするんですか」と、キャンパスで声をかけられた。バレーやバスケットのスポーツサークルに誘われて入り、週1回、仲間と楽しんでいた。
約半年後、仲間が集う神戸市のマンションで食事中、女性の1人に「聖書の勉強をしてみない?」と勧められた。そこで初めて、鄭教祖を神格化した「摂理」の教義を教え込まれた。仲間は「信者」、マンションは信者が共同で暮らす「教会」だった。親や牧師の説得で脱会できたとき、社会人になって半年が過ぎていた。男性は「交友関係を失いたくなくて、なかなか抜け出せなかった」と振り返る。
脱会者によると、サークル活動を装った勧誘は、教祖の指令で90年代半ばから本格化した。スポーツのほか、演劇やゴスペル合唱、ダンスなど若者の興味を引く活動が目立つ。主な大学ごとに卒業生の信者らが「キャンパス幹事」を務め、現役学生の信者数人にチームを組ませて勧誘方法を指導するという。
東北の大学で勧誘にかかわった男性脱会者(32)は「まずエリートを誘うよう指示された。将来、大手企業や官公庁に入れば、多額の献金や集団の社会進出が見込めるという狙いがあったのではないか」と話す。
一方、各大学では、カルト集団への対応が主に「信教の自由」を理由に後手に回ってきた。「摂理」について情報収集に乗り出す大学も出始めたが、学内のポスターで注意を呼びかける程度で「まだ手探り」(千葉大)なのが実情だ。
明治学院大(東京)は30日、「摂理」などカルト集団への対策を考える勉強会を初めて開く。担当者は「危機感はあるが、有効な対策があるのかどうか……」と悩む。
http://www.asahi.com/national/update/0729/OSK200607290206.html