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[住基ネット]「利便性を引き出す工夫が大事だ」
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の安全性、安定した運用が、実証されたということだろう。
横浜市が住民の「選択方式」を撤廃し、今月から個人情報の非通知を希望していた市民約82万人のデータ送信を開始した。11月までに全市民参加の手続きが終了するという。
住基ネットがスタートして間もなく4年になる。導入当初は賛否両論があったが、住基ネットからの情報漏洩(ろうえい)、ネットへの不正侵入などは起きていない。今後も厳格な情報管理に努めてほしい。
まだ住基ネットに参加していない東京都杉並区、国立市、福島県矢祭町も参加してはどうか。
住基ネットとは、全国民に11けたの番号を付け、国や自治体が住民の氏名、住所、生年月日、性別の情報を共同利用するシステムだ。
行政の効率化と住民の手間の軽減に役立っている。行政機関への申請や届け出の際、住民票の写しは不要になった。
今秋からは、先行実施されている共済年金に加えて国民年金、厚生年金の現況確認にも住基ネットが使われる。
年金の過誤払いがなくなり、受給者も毎年「現況届」を年金支給機関に郵送するわずらわしさから解放される。
しかし、問題がないわけではない。
希望者に有料で交付される住基カードが、さっぱり普及していないことだ。発行枚数は今年3月末で約91万枚、人口比ではわずか0・7%に過ぎない。
写真付きの住基カードは、運転免許証と同様に公的な証明書となるものの、住民にとってカードを持つことのメリットが薄いからである。
発行主体が市町村ごとになっているから、引っ越しで市町村を移動した場合、カードが失効してしまう。日本中、どこでも同じ住基カードを使えるように改めなければ、普及拡大は望めまい。
住基カードにはICチップが組み込まれ、パスポートの電子申請など「公的個人認証サービス」に利用できる。だが、利用者は極めて少ない。サービスの範囲拡大などを検討しなければならない。
ごく一部だが、富山県南砺市38%、北海道長沼町32%、宮崎市19%のように普及率の高い自治体もある。住基カードに印鑑登録証や、図書館サービス、公共施設予約、商店街ポイントサービスなどの機能を付加しているからだ。
住基カードの普及には、自治体の創意工夫も欠かせない。
住基ネットと住基カードは、電子政府、電子自治体の基盤となる。その利便性を十分引き出してもらいたい。