2006年07月28日(金) 08時02分
郵政公社に改善命令 総務省、不正値引きで方針(産経新聞)
総務省は27日、郵便料金の不正値引きなどが相次いでいる日本郵政公社に対して、全国郵便局の内部管理体制に不備があると判断し、日本郵政公社法の規定に基づき、経営改善命令を8月9日に発動する方針を固めた。発動されれば、平成15年4月の公社発足以降初めて。総務省は公社に対し、郵便料金収納業務の二重チェックなど改善内容の報告を1カ月以内に求める。
郵政公社では今年5月、長岡郵便局(新潟県長岡市)が郵便料金の別納制度を利用し、平成14年6月から15年12月までの間に発送代行会社から受け取った郵便物約1億2000万通を対象に、約27億円を不正に値引きしていた。
また、福岡渡辺通郵便局(福岡市)でも同様の不正があり、6億7000万円の損失を出した。
このほか、郵便局の職員による横領事件や、簡易保険の配当金支払いでもシステム不備が発覚するなど、民営化を前に、内部管理や法令順守に関する問題が噴出している。
総務省はこれら不正を深刻に受け止め、立ち入り検査を実施した結果、「責任者によるチェックが形骸(けいがい)化し、内部管理体制が不十分」(幹部)と判断。27日の郵政行政審議会(総務相の諮問機関)で、経営改善命令の発動を諮問した。8月9日の答申を受けて即日発動する。
改善命令では、別納郵便料金収納にかかる二重チェックの実効性や、不備が判明した料金適正収納マニュアルの見直しなどを求める方針だ。
郵政公社は同日、「諮問を厳粛に受け止め、民営化に向けて内部統制強化に取り組んでまいります」とのコメントを発表した。
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【用語解説】経営改善命令
日本郵政公社法60条で総務相が郵政公社に命じることができると規定している。事業年度ごとの業績評価の結果や、経営の健全性を確保する上で必要があると判断した場合、経営目標の変更や経営の改善に必要な措置を命令する。
(産経新聞) - 7月28日8時2分更新
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