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「多重債務者」には厳密な定義はなく、一般的にはいくつかの金融会社や銀行から借金して返済が苦しくなった人のことを指す。データもなかったが、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会などは「全国に二百万人はいる」と強調してきた。全情連が公表した「二百二十九万人」は、それを上回る数字だ。
データは、五月二十二日の時点での借入先社数ごとの債務者の数と借入金残高を集計している。自民党の「貸金業制度等に関する小委員会」の求めに応じて全情連が提出した。担保なし、保証人なしの債務が対象。
表のように、債務者の総数は約千三百九十九万人、借入残高は十四兆千九百六十五億円。
このうち借り入れが一社だけの人は、五百九十八万人と全体の43%にとどまっている。その中にも今後、借金額が膨らむ人は少なくないとみられる。
借入先が四社に達した段階で、一人あたり残高は約百六十九万円。この時点で多重債務に該当している人も多いとみられるが、相談会などを訪れる人の多くは「五社、六社の時点でどうしようもならなくなった」と体験を語る。
借入先が五社以上になると、借金残高は二百万円台に達する。年25%の金利で借金をして残高が二百万円とすると、一カ月間の返済金は利息だけで四万円強。
多重債務者の大半は年収四百万円未満であり、よほど生活を切りつめない限り返済は困難だ。また、五社を超えると、消費者金融側の審査が厳しくなるため、借金を断られてヤミ金融に手を出して、さらに深みにはまる人も多い。
三カ月以上返済していない債務者は合計で約二百六十八万人。消費者金融から借りている上に信販会社や銀行などからも借りている債務者は多いが、全情連は貸金業界系の個人信用機関で、信販、銀行業界系の顧客情報はほとんど含まれていない。また、ヤミ金融の借金の実態は不明で、実態は今回のデータよりも深刻といえる。
多重債務問題では貸金業者の上限金利をどうするかがクローズアップされているが、過剰融資を防ぐ制度作りも大きな課題と言えそうだ。
かつて多重債務者だった全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の橋詰栄恵副会長は「多重債務者が膨大な数に上ることが裏付けられた」と感想を述べる。そして「私もそうだったが、多重債務者のほとんどは『返済しなければならない』と一人で苦悩している。早めに相談するよう、役所やマスコミは啓発に努めてほしい」と訴える。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060727/ftu_____kur_____001.shtml