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〈秋深き隣は何をする人ぞ〉——国勢調査の調査票配布、回収はなかなか大変な作業らしい。去年、調査員を引き受けた人から苦労話を聞いたことがある◆共働きや単身世帯が多い。オートロックマンションも増えた。相手に接触すること自体が難しい。去年４月には個人情報保護法が施行された。この法律を誤解して、協力を拒むケースも出てきた◆調査票の提出拒否などが続出、去年の未提出率は４・４％（約２１０万世帯）で、前回２０００年調査の１・７％から大幅に上昇した。前々回の１９９５年は０・５％だったから悪化も甚だしい◆日本の国勢調査は１９２０年１０月１日に始まった。以来、調査員が調査票を配布、回収する方式で続けられてきた。が、どうやら回収は郵送に変更されることになりそうだ◆総務省が有識者懇談会の報告を踏まえて、見直しの方針を打ち出したというが、郵送に変えても、回収率が好転するかどうかに保証はない。政策立案の基礎データがあやふやになっては不安な話だ◆個人情報保護法の曲解はおかしな匿名社会をつくる。