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■劣化では死者なし
一九八七年一月、苫小牧市内のアパートで起きたCO中毒事故では「ガス臭がする」との通報でガス会社の社長が現場に駆け付けたところ、室内の二人はすでに死亡していた。湯沸かし器は燃焼し続け、シャワーは出っぱなし。排気ファンは回っていなかった。
「ファンが止まれば安全装置が働き、湯沸かし器も止まるはず」と思った社長は苫小牧署に湯沸かし器を調べるよう求めた。事故から一カ月後、同署から安全装置の端子を針金で直結する「不正改造」が行われていたことを聞かされた。
九五年一月、恵庭市で一人が重症となったパロマ湯沸かし器による事故で、道警の再現実験の結果、不正改造されていた湯沸かし器の排気は空気の取り入れ口から室内に排出され、室内のCO濃度は(1)二分後に0・04%(2)十分後、0・1%−と短時間で極めて高濃度になることが判明。一般的に0・16%の濃度のCOを二時間吸い続けると死亡するとされる。
鑑定書は「COが継続的に排出され、再度燃焼用空気として吸引されるため、さらに高濃度のCOが発生する状態になる」と結論付けた。
八七年の苫小牧の事故や九〇年十二月の帯広の二人死亡事故では、湯沸かし器の電気コードがコンセントから抜けていた。本来、電気が流れないと安全装置のため湯沸かし器は作動しないが、不正改造されると通電しなくても着火・燃焼はするが、排気ファンは回らない。この二つのケースでは、誤ってコードを抜いたまま湯沸かし器を使ったためファンが回らず、事故につながった可能性もある。
一方、安全装置が劣化して故障した場合、パロマ工業によると、ガス弁が閉じられ、ガスの流れは止まる構造になっている。だが、安全装置が故障を感知してからガス弁が閉じるまでに「数分はかかる」(パロマ工業総務部)ため、これに排気ファンの異常が重なると不完全燃焼が起きてCOが出る−とされる。
死亡事故につながらなかったのは、不正改造とは異なり、不完全燃焼の時間はごくわずかのため「COの量は比較的少なかったのでは」(道内のガス販売業者)という。
■はんだ割れ多発し改造 パロマが認める
パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器で相次いだ一酸化炭素中毒事故で、パロマが事故原因として最初に指摘した安全装置の不正改造は、機器を制御する基板で多発したはんだ割れが一因になったことを、パロマが二十三日、認めた。
不具合は、劣化により、器具を制御するコントロールボックス内の基板のはんだ付け部分が割れ、通電しなくなることで燃焼が停止する。
修理業者らは安全装置に関係なく燃焼できるよう、コントロールボックス外側の端子をつなぐ配線を組み替える不正改造をしていた。
同社はこれまで「部品がなくて、やむを得ずにやったり、正しい配線に戻すと器具が動かないため補修したとみられる」などと説明していたが、断定はしていなかった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060724/mng_____sya_____010.shtml