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2006年07月21日(金) 00時01分

トヨタのリコール問題 国交省、業務改善指示へ朝日新聞

 トヨタ自動車の多目的車「ハイラックス」リコール問題で、20日に同社が開いた定例会見で経営首脳が「お客様に大変心配をかけた」などと陳謝した。同社は04年10月までリコールしなかった判断は「妥当だった」との立場は変えていない。だが、この日の国土交通省に提出した報告で、不具合情報の管理や部門間での共有が不十分だった実態も明らかになった。国交省は情報が活用されていれば、より早くリコールできた可能性があったとみており、21日にも業務改善を指示する方針だ。

会見後、報道陣に囲まれるトヨタ自動車の渡辺捷昭社長(中央)=東京都内のホテルで

 会見では渡辺捷昭社長が「お騒がせしていることを深くおわびしたい」と頭を下げた。熊本県警が11日に「不具合を把握した95〜96年以降約8年間、リコールを放置した」として同社の当時の品質保証部長らを書類送検した時には、同社は記者会見も開かなかった。

 「落ち度はなかった」と県警に反論する点は変わらないが、この日の会見では、創業家の豊田章男副社長が「お客様を不安にさせたことはメーカーとして大変恥ずかしい」と述べるなど、「低姿勢」に転じつつある。

 実際、この日の報告を見ると、対応が万全だったのか、疑問が残る。

 リコール対象部品の「リレーロッド」は、国内外で29件の不具合情報があり、社内調査後の96年3月、強度を増した部品に変更した。だが、この際の検討結果や資料は担当の技術部門で保存され、リコール担当の品質保証部などではその後の安全性のチェックに生かされなかった。

 04年10月のリコールの際、品質保証部は販売会社などから届く「市場技術速報」を基に11件の不具合があると同省に説明した。同社の速報の保存期限は5年なので、96年以前に寄せられた5件の市場技術速報はこれらに含まれていない。

 このほか、サービス部門には保証期間内の修理情報が13件、お客さま相談センターには00年以降の利用者からの情報が15件あった。国外のものを含めた不具合情報は82件にのぼっていた。

 これらの情報でリコールの検討材料になったのは一部だけで、国交省は情報共有の取り組みに改善点があるとみている。

 これに対し、同社の瀧本正民副社長は、国交省に報告した後の記者会見で「リコールの判断は件数で決めるのではない」と何度も繰り返した。だが、「参考情報」の調査や検証が十分だったのかについては「まさにそこが捜査の争点」と言葉を濁した。

 熊本県警幹部はこの日の動きを「トヨタと国交省の間の話。うちは本件を固めるだけ」と淡々と見守った。県警は、事故の危険性を担当者がいつ認識し、回避措置を取ったかが立件の鍵とみている。96年から改良部品に変えたことは、危険性の認識の証拠とみている。

 渡辺社長は会見で「会社の仕組みとしてより多くの品質情報を、より早くより有効に活用できるよう改善したい」と語った。この言葉と「落ち度はなかった」という主張とで、どう整合性をとるのか。トヨタの行く手はなお厳しい。

http://www.asahi.com/business/update/0721/001.html