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「一連の事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、心からおわび申し上げます」
会見の冒頭、小林弘明社長は約二十秒にわたって深々と頭を下げた。
「不正改造がなければ事故もなかった」と一切謝罪の言葉を口にしなかった前回の会見とは対照的な姿。充血してうるんだ目で前を見つめ「改造という言葉から、われわれの製品ではないという意識を持ってしまった」と悔やんだ。
当初より事故件数と死者数が大幅に増えた点について「情報の把握が十分できていなかった。経営者として甘さがあった」と社内体制に問題があったことを認めた。
会見には、昨年九月まで二十五年間社長の座にあった父親の小林敏宏会長も同席。「安全な製品開発は業界で最先端との思いが甘さにつながったかも…」とうなだれた。
報道陣から「同族経営や無事故を看板にした会社体質が正確な情報の伝達を妨げたのでは」と問われると、会長は「そう言われると心配になる」と戸惑った様子。
会長は「安全確保ができ次第(進退を)検討する」と話し、引責辞任を示唆。しかし、長男の弘明社長については「問題が起こった時期にはまだ入社していなかった」などと、終始かばう姿勢を見せた。安全装置の老朽化による事故の表面化を受け、ほかの製品での問題の有無を問われると、パロマ側は「現在は対象機種の調査で手いっぱい。ほかにも問題はある可能性はあるが、まずは対象機種の調査を優先したい」とした。
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「それでも誠意は感じられない」。パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故で肉親が被害に遭った遺族らは、十八日に初めて非を認めたパロマ側に、あらためて怒りをぶつけ、一部では訴訟を検討する動きも出始めた。
「テレビでおわびしてもダメだ。遺族の名前が分かってるんだから、電話の一本くらいよこすのが筋ではないのか」。一九九〇年に北海道帯広市のアパートで長女ひとみさん=当時(20)=を亡くした浦幌町の吉田茂夫さん(68)は、憤然とした表情で語った。「一日も早く当該機種の回収を行うと同時に、被害者に見舞金を払うべきだ」とも。
この事故では上の階に住んでいた会社員鈴木誠人さん=当時(27)=も死亡した。兄の会社役員鈴木孝幸さん(46)は「今まで放置して、多くの犠牲者が出てから行動を起こすのは企業モラルに欠ける」と憤る。
八七年一月、北海道苫小牧市内のアパートで婚約者とともに死亡した藤原弘志さん(20)=当時=の父、進さん(62)は「事故について業者や警察から納得できる説明がなかった。この十九年間、ずっと真相を知りたいと思っていた」と語る。今後「司法的に白黒を付けてもらいたい」とし、パロマの対応によっては訴訟も辞さない構えだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060719/mng_____sya_____009.shtml