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2006年07月19日(水) 02時06分

パロマ「認識が甘かった」…遅すぎた対応に遺族の怒り読売新聞

 事故原因を巡る新たな事実が浮かび上がった。パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による死亡事故に関し、販売元のパロマが18日、公表した社内調査結果。事故件数が27件、死者数が20人に増えたほか、会社側が強調していた不正改造とは別に、品質の劣化が事故を招いていたことも明らかにされた。

 次々と発覚する新事実に、パロマの小林弘明社長(37)は「認識が甘かった」とようやく謝罪し、父親の小林敏宏・パロマ工業社長(68)は辞任の意向を表明したが、遅すぎた対応に被害者の遺族らは憤りをあらわにした。

 「不正改造が原因と考えて事故を見過ごしてきた」

 名古屋市のパロマ本社で会見した弘明社長は、安全装置の劣化でも事故が起きていたことを明かした。

 続けて「改造されたと思い込み、我々の製品の欠陥ではないとの認識だった。そこに落とし穴があった」と語り、「我々すべての責任という姿勢で対応すべきだったと反省している」と、メーカーとしての責任を初めて認めて謝罪した。

 10年以上にわたって使われた安全装置の品質劣化による事故は4件。会見では「設計ミスではないか」との質問が相次いだが、パロマ工業の青木豊・技術管理本部長は「当時は最善の設計だった」と否定した。ただ、今は安全装置の劣化問題を解消した湯沸かし器が普及している事実も挙げ、「今の基準では設計不良と言われるかもしれない」と複雑な表情も浮かべた。

 品質劣化も原因と判明したことについて、経済産業省製品安全課の担当者は「心臓部であるコントロールパネル(制御装置)の『はんだ割れ』に関心を持って調べている」と話し、「結論は出ていないが、他社製品と比べて著しく劣化が早ければ、やはり問題だろう」との見方を示した。

 一方、新たな事故原因を知らされた遺族は、これまで「製品自体には問題ない」と主張してきたパロマへの憤りを隠さない。

 昨年11月の東京・港区の事故で、二男の浩幸さん(当時18歳)を亡くした上嶋正人さん(56)(茨城県在住)は、「改造にせよ、劣化にせよ、製品に問題があると分かった段階で、なぜすぐに公表や回収に踏み切れなかったのか。問題が20年近くも前にさかのぼる話だとすれば、息子は本当に浮かばれない」と怒りを新たにしていた。

 都内のマンションで2001年に起きた事故で、父と義母を亡くした男性(29)も、「パロマ側は淡々と会見するだけで、深刻さや誠実さが感じられない。数日調べただけで次々に新しい事実が分かるのだから、もっと隠していることがあるのではないかと思ってしまう」と不信感を募らせた。

 製造物責任(PL)法の制定にかかわった埼玉大非常勤講師の原早苗さんは「ガス器具でも家電製品でも経年劣化は避けられない。ただ、死亡事故など重大な結果につながる劣化はあってはならないという意味で、製造欠陥の一つと言える」と指摘している。

 ◆社長は続投の意向◆

 18日の記者会見では、両社長の責任を問う質問が相次いだ。

 初めて会見に姿を見せたパロマ工業の小林敏宏社長は、「今は消費者の安全を図ることが第一。それが完了した日に進退を考えたい。辞めることも十分考えられる」と、問題解決後に辞任する考えを表明。

 一方、長男の小林弘明・パロマ社長は「逃げずにパロマの信頼を勝ち取りたい」と、涙を浮かべながら続投の意向を示した。

 「弘明氏が残ると人事一新にならないのでは」との質問が飛ぶと、弘明社長は「力がなければやめるが」と述べた後、「早急にこの事件を解決したい」と続けた。敏宏社長が息子をかばうように、「(弘明)社長が会社に入る前に起きた事故で責任を問うのはどうか」と語る場面もあった。

 ◆パロマ社員自ら修理した事例も◆

 パロマは18日、これまでに不正改造が見つかった14件のうち、1991年に長野県で発生した事故について、発生前にパロマの社員が修理を行っていたことを明らかにした。ただ、同社は「不正改造に関与したかどうかは確認できなかった」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060718ic23.htm