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捜査当局によると、トヨタの多目的レジャー車(RV)で、ハンドル取り付け部品リレーロッドが折れるなどの不具合が一九九二年から九六年までに国内外で二十九件発生、三人の部長はその危険性を認識していた。九六年六月販売の新車はロッドを強化しているのに、リコール(無料の回収・修理)届け出は八年間も遅らせた。
このため九三年製造の同型車が二〇〇四年八月に熊本県菊池市でハンドルが利かなくなる事故を起こし、五人が重軽傷を負ったとしている。
トヨタ側は、九六年までの不具合は停車中の無理なハンドル操作などによるケースが多く、リコールの必要性は認識していなかったとしている。真相究明には国土交通省などのさらなる調査も待ちたい。
自動車メーカーは、何らかの不具合を認識したら、できるだけ早く届け出て周知を図らねばならない。三菱自動車はリコールを隠し続けて事故が続発し、元社長までが逮捕される事件となった。
隠すことは論外だが、届け出が遅れることも問題だ。「軽い不具合だからリコールは不要」と判断する前に「軽い不具合でも全ユーザーと情報を共有する」姿勢が望まれる。
ハンドル操作に支障が出るようなリレーロッドの異常をなぜ「軽い」と判断したのか、ユーザーの理解が得にくいところではないか。
トヨタをはじめとする日本車の売れ行きは好調である。燃費の良さに加えて安全性などの品質が、高く評価されているためだ。
この信頼を崩してはならない。特に安全性の品質確保は、たとえマイナス情報でも先取りして情報開示するくらいの心構えが必要である。
気がかりなのは、このところトヨタ自動車のリコール対象車の台数が増加傾向にあることだ。
軽い不具合と思われるケースも積極的に届け出ている面もあるというが、世界的な生産台数の急増に、部品メーカーを含めた人材育成などが追いついていないのではないか。
奥田碩前会長(現取締役相談役)がかつて「大企業病にならないよう自戒している」と述べている。組織が巨大化すると隅々にほころびが出やすくなる。
とりわけ信頼の基盤である法令順守(コンプライアンス)でほころびが出ては取り返しがつかなくなる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060713/col_____sha_____002.shtml