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2006年07月12日(水) 01時56分

7月12日付・読売社説(2)読売新聞

 [情報通信白書]「もう『ネットなんか』と言えない」

 インターネットは質、量ともに拡大したのに、まだ十分に使いこなせていない——。

 ますます身近になった情報通信技術の現状を、総務省がまとめた今年の「情報通信白書」がそう分析している。

 数年前まで、ネット利用者は、パソコンや携帯電話でホームページを見て回る程度だった。今は、ほとんどの都市から安価に高速ネット接続ができる。

 白書によると、昨年のネット利用人口は前年比581万人増の8529万人に上る。普及率は67%に達している。

 理由の一つに、個人による情報発信の広がりが挙げられる。簡易型ホームページ「ブログ」の登録者数は、昨年度末で計868万人になった。知人同士の情報発信に限定した「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」も、716万人に利用が広がっている。

 日常の生活でも、利用度が上がっている。商品購入の際、消費者の62%はネットで情報を収集する。26%はネット上で商品を購入している。音楽をネット配信で買いたいという人も40%近い。

 企業は、こうした変化に乗り遅れていないだろうか。地方の特産品がネットに出品されているが、爆発的に売れるのはごく一部だ。従来は、もうけにならなかった知名度の低い商品がネットでは、じわじわ売れる傾向もあるが、いまだに売れ筋商品ばかりが優先されている。

 日本の企業は米国などと比べてネット技術の導入が遅い。ネット・オークションも米国にならって始まった。後追いと模倣だけでは、変化に対応できない。

 利用者も賢く使いこなせているだろうか。「ネットなんか知らない」では、あまりにもったいない。

 農産物の産地や栽培法など、食品の安全情報はネットなら容易に得られる。価格も、競争が働きやすいネット商店の方が安いことが多い。

 読まれるブログを作り、ネット広告を載せて、副収入を得る人もいる。

 ただ、ネット社会には闇もある。白書によると、迷惑メールなど、何らかの迷惑を被った人は個人利用者の55%と、半数を超える。企業では68%に上る。ファイル交換ソフト「ウィニー」による機密情報の流出も、根絶できない。

 法規制も整備されつつあるが、十分だろうか。現状では、他人のコンピューターのパスワードを盗んでも、罰せられない。コンピューター・ウイルスの作り方さえ、ネットや書籍で入手できる。

 政府は、2010年までに本格的なネット社会を築く目標を掲げている。安全性向上の取り組みが欠かせない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060711ig91.htm