2006年07月11日(火) 15時02分
約4割のネットユーザーがパスワード盗難に遭う中国(japan.internet.com)
中国にはいま、日本の総人口に近い1億1,000万人以上のインターネット利用者が
いる 。しかしネットセキュリティに対する意識は、はたしてどの程度浸透しているのだろうか。中国・公安部が2005年に行った「情報ネットワークセキュリティ状況・コンピュータウイルス調査」の結果によれば、「ネットワークセキュリティ管理者の訓練が不十分で、一部ではセキュリティ対策が十分でない企業・機関が存在する」とのこと。個人ユーザーについては推して知るべしだろう。
一方、中国政府が発表した2020年までの「国家情報化発展戦略」には、総合情報インフラの普及や情報技術における自主刷新能力の増強など、じつに勇ましい目標が掲げられている。「情報化」大国たらんとする強い意志を世界に示したということだろうが、中国社会は2004年1月にネットセキュリティに関する大きな「事件」に見舞われたばかりであるにも関わらず、「戦略」の中ではそれがどう位置づけられているのか判然としない。
中国では、いわゆる「トロイの木馬」型ウイルスが大量に発生している。中国ソフトウェア大手の
江民科技 の調査によると、4割のネットユーザーがパスワード盗難に遭っていること、5割近くのネットユーザーがパスワードなどの個人情報に対して有効な措置を取っていないことが明らかになった。また、インターネットバンキングにおいてユーザー ID やパスワードが盗まれるという事件も頻発している。
中国人民銀行が
発表 した「オンライン引き出し手引き」によれば、インターネットバンキングユーザーの口座がハッカー被害を受けた場合、損害はユーザー自身の負担になるとしている。トロイの木馬型ウイルスの横行もあり、ユーザーはインターネットバンキングの利用の際には、いっそうの注意を払う必要がある。
パスワード盗難の原因について江民科技では、約6割がトロイの木馬型ウイルスの感染によるとしている。また、9割近いユーザーがパスワードのセキュリティに関するソフトの発売を望んでいることを受け、ソフト開発を進めているという。
業界関係者は、インターネットバンキングについて、「システム自体は安全であり、盗難の被害はセキュリティを疎かにしたユーザーのコンピュータで発生している」と述べ、インターネットバンキングの管理者は、ユーザーの端末からサーバーまでの通信セキュリティを保護する義務はあるが、ネットユーザーが被った損害についての補償義務や、セキュリティ警告を発する義務はないとしている。
2008年に開催される北京五輪を前に、中国のインターネット環境は今後も整備が続いていくだろう。今のうちに法整備を含めた環境整備をどれだけ進められるかが、今後の鍵となる。
(執筆:サーチナ・齋藤浩一)
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(japan.internet.com) - 7月11日15時2分更新
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