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JR中之条駅では「みどりの窓口」が閉鎖され、新型券売機「Kaeruくん」(左)が置かれた=群馬県中之条町で
「みどりの窓口」がなくなった駅
群馬県中之条町のJR吾妻線中之条駅。温泉地に近く、1日約2400人が乗降する特急停車駅だ。だが、3月に窓口がなくなり、対話型券売機「Kaeru(かえる)くん」が設置された。
■見えない顔
「Kaeruくん」は、盛岡市にあるセンターのオペレーターと通信回線でつながっている。客は、券売機に向かってオペレーターと話し、その指示に従ってタッチパネルの画面表示を操作し、切符などを購入する仕組みだ。
JRは当面の措置として、臨時職員を派遣し使い方を説明している。新幹線の切符を買った地元の女性(71)は「今日は教えてもらったから良いけれど、次は混乱しそう」。定期券を買った男性(34)はオペレーターに「ミスがあった」と言われ、操作をやり直した。「相手の顔が見えないからイライラしますね」
■機能に制約
JR東日本は05年3月に「Kaeruくん」を東京都の青梅線7駅に初めて導入し、今年に入って47駅増やした。1日数十件しか窓口の利用がなかった駅が多いが、高崎線北鴻巣、行田両駅など、1日の乗降が1万人を超す駅も含まれる。
JRは「券売機で窓口と同等のサービスが維持されている」として、時刻表に「みどりの窓口」の表示を残したままだ。ただ、宿泊券や航空券が買えないなど、実際の窓口と異なる制約がある。
北関東の駅の駅員は、窓口廃止後、目や耳の不自由な人たちから「どうやって買えば良いのか」と何度も尋ねられた。画面表示と音声を組み合わせている「Kaeruくん」は、目や耳が不自由だと操作は困難だ。駅員は「みどりの窓口があるほかの駅に客が流れ、売り上げが十数%減った」とため息をつく。
全54駅の「Kaeruくん」を盛岡市のセンター1カ所で受け付けるため、定期券の購入者が多い朝は最高30分程度待たされることもある。
JR高崎支社管内はこの春、支社別で最多の14駅の窓口が廃止された。労組の一つ、国労高崎地本には利用者や観光団体から苦情が多く寄せられている。唐沢武臣書記長は「都市部のもうかる駅は改装に力を入れる一方、地方の駅を切り捨てようとしている」と会社側を批判する。
■首都圏でも
JR東日本は経営合理化の一環として駅員の削減を続けてきた。今年4月現在の駅員は1万1650人。98年より約3000人少ない。窓口を廃止した駅では2、3人程度の削減が見込めるという。
今年5〜6月には北松戸、天王台など常磐線4駅の窓口も廃止した。JRは「利用が比較的少なく、近隣に大きな駅があるため」と説明する。代わりに「指定席券売機」を置いたが、通学定期の新規購入ができないなど、制約は「Kaeruくん」よりも多い。
JR東日本によると、同社の約1700駅のうち、窓口があるのは「Kaeruくん」のみの54駅を含め732駅。今後も廃止を進める方針だ。同社営業部は「窓口を廃止した駅は無人ではない。体の不自由な方や券売機の使い方がわからない方は、駅員に言って頂ければ対応します」と理解を求める。
http://www.asahi.com/national/update/0711/TKY200607110531.html