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トリノ五輪、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、サッカーのワールドカップ(W杯)と、今年は世界規模のスポーツイベントが続く。サッカーはあえなく敗退したが、誰もが「世界一」になれるチャンスが、実は意外に近くに存在する。梅干しの種飛ばし、エアギター……。それぞれに熱く、頂点をかけた戦いがそこにはある。
「ブッ」という音とともに口から飛び出した小物体が放物線を描いた。メジャーを持った計測係の女性が着地点まで走り、記録を読み上げる。
「6メートル72センチでーす」
先月25日に福島県会津美里町で開かれた「高田梅種とばし選手権世界大会」。梅干しの種を口で飛ばして飛距離を競う大会で、13回目の今年は全国から約250人が出場した。今回は海外からの参加者がなかったが、「世界大会」であることに間違いはない。国際色豊かに、優勝賞金は米ドル建てで300ドル。世界記録は14メートル86だ。
大会は地元の商工会青年部が中心となって運営し、競技にはゴルフボールほどもある地元産「高田梅」を使う。大会規則は「吹きとばす前に高田梅の果肉部分を十分味わって食べなければならない」とも定める。今年、「世界一」の栄冠に輝いたのは会社員橋元直広さん(37)(福島県会津若松市)で、記録は13メートル55だった。
8年連続で参加し、第9回大会優勝者である会社員佐藤雅哉さん(33)(福島市)は「子どものころ、庭でスイカを食べて種を飛ばすのが大好きだった。梅干しの種を飛ばす一瞬、あのころの自分に戻れる」と競技の魅力を熱く語る。
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大音量のハードロックをバックに、ギタリストの与那原春輔さん(27)が「ウォー」という絶叫とともに頭を激しく振り、腰をねじ曲げ、目にもとまらぬ速さで指を走らせる。
だが手にはギターがない。音楽に合わせ、あたかもギターを弾いているかのように演じる「エアギター」の特訓をしているのだ。
東京・高田馬場の音楽スタジオ。ここでアルバイトをしながら、与那原さんはエアギターの技を磨く。1人で特訓していると、周囲からいぶかしげな視線を浴びるが、与那原さんは気にしない。「世界」という大きな目標があるからだ。
日本のトッププレーヤーである与那原さんの目下の目標は、8月13日の「ジャパンファイナル」で優勝し、フィンランドで9月に開かれる世界選手権に出場することだ。
「決められた時間内に、どんな順番でパフォーマンスを見せ、どう動いて観客にアピールするか。奥が深い」。与那原さんはそう言って汗をぬぐった。
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フィンランド生まれのエアギター。日本国内の愛好者は現在、推定10万人いるとされ、昨年は各種大会を主催する公式団体「エアギタージャパン」(東京都港区)が設立された。同団体事務局は「日本のレベルは高く、昨年は日本代表が世界4位に入った。近いうちに世界チャンピオンが誕生しても不思議ではない」と期待を寄せる。
フィンランドはエアギターだけではなく、各種のユニークな世界大会が開かれることで有名だ。携帯電話投げ、奥さんを担いでの障害物競走、サウナ我慢比べ……。フィンランド政府観光局日本局の能登重好局長は、「1990年代の不景気から抜け出し、現在のフィンランドは国としての勢いがある。イベントが盛況なのは、この国の人々が元気な証拠」と話す。
日本でも各地で世界大会が増えてきた。「世界スリッパ卓球大会」(山形県河北町)、「えび狩り世界選手権大会」(山口市)、「大道芸ワールドカップin静岡」(静岡市)などが名乗りをあげている。
日本で開催されるユニークな世界大会 大会名 開催地今年の開催日 特徴など 世界スリッパ卓球大会 山形県河北町 6月25日 河北町はスリッパ生産量日本一。大会は今年は3回目。参加資格は小学生以上で「あまり卓球がうまくない人」 えび狩り世界選手権大会山口市8月26日砂に潜ったエビを手づかみで捕る。昨年は約40人の外国人が参加 大道芸ワールドカップin静岡静岡市11月2〜5日雪かきの動きで冬場の運動不足を解消イベントプロデューサーの宮本倫明(りんめい)さん(46)は、「地域のマイナー競技が、外国からも注目される『世界大会』に成長するには時間がかかる。イベントを毎年開催するという覚悟と情熱が主催者には必要。根気よくイベントを育ててほしい」と話す。
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