2006年07月05日(水) 21時09分
やわらか戦線、異状アリ? Flashアニメの商品化に企業続々(ITmediaニュース)
(C)ラレコ/ネトアニ 写真:ITmedia
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やわらか戦線が拡大している。
2006年2月末、ITmediaは「やわらか戦車」というFlashアニメを紹介した。livedoorネットアニメで配信された個人制作コンテンツが、ブログなどの力を借りて徐々に有名になっているという内容で、記事末尾には制作者であるラレコさんのコメントとして「『やわらか戦線』の拡大を目撃してほしい」というセリフも掲載した。
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それから4カ月がたった今、“戦線”は確実に拡大していた。ライブドアとファンワークスは7月4日、同アニメの商品化を希望する企業と「やわらか連合軍」を結成すると発表。玩具、雑貨、映像、書籍など多岐にわたるジャンルで商品をリリースすると明かした。
連合軍の顔ぶれは、バンプレスト、タカラトミーグループ、USEN、タイトー、角川ザテレビジョン、エフエム東京、ジェネオン エンタテインメントなど。これらの事業者が相乗りし、各々強みを持つ分野でのキャラクター商品展開・クロスプロモーションを行う。
●50社から商品化の申し出が集まる
ライブドアと協力してやわらか戦車の版権管理、プロモーション戦略立案を行うファンワークスの高山晃社長は、やわらか戦車の商品化をめぐって50社以上から申し出があったと話す。
「そのうち10社あまりでチームを組んだ。『連合軍』という言葉はダテではなく、今年の8月から年末にかけて、続々と40以上のキャラクターグッズをリリースする」
具体的には、例えば食玩を手がけるすばる堂が、コンビニ玩菓を制作する。バンプレストはアミューズメント施設向けグッズを用意する考えで、クレーンゲームにやわらか戦車が登場するようだ。ディズニーなどのグッズを担当するラナは、今回1メートルの大きさのぬいぐるみを制作するという。
「どの企業も、面白がって企画を立ててくれている。小物系では、製品アイデアと一緒に柔らかい素材を送ってきて、『うちのグッズだとこんなに“やわらか”ですよ!』とアピールする企業もある」(笑)
携帯コンテンツとしては、タイトーやエフエム東京、ビクターネットワークスが着メロ、着うたを配信。“や〜わらか戦車、や〜わらか戦車”というメロディを持ち運べる。出版系では、角川ザテレビジョンが絵本を企画。ジェネオン エンタテインメントがDVDを手がける構想もあり、「コンビニだろうと、本屋だろうと、ビデオショップだろうと、やわらか戦車はあちこちに出現する」(笑)。
●なぜ、こんなにグッズが登場するのか?
やわらか戦車の商業展開が進む理由としては、コンテンツ自体に一定の魅力があることや、個人制作アニメなので著作権処理が容易であることなどが挙げられる。
だが、それだけではない。
前出の高山氏は、いまや多様な分野からキャラクターグッズが登場する時代なのだと話す。テレビアニメやマンガのキャラクターはもちろん、「ポケモン(ポケットモンスター)などはゲーム出身のキャラクターの成功例として、後々まで語られるのかもしれない」。ほかに「たらこキューピー」のような“ちょっとズレた、面白いキャラ”が話題になる場合もあり、キャラクターの多様化が進んでいるという。
高山氏によれば、「次は携帯かネット業界からキャラクターが出てくるだろう、という見方が業界に広がっていた」。そんな中で過去に商品化が試みられたキャラクターが、「ギコ猫」であったり「のまネコ」だったりしたが、これらは複数のネットユーザーから反発を受け、失敗した事例として記憶されている。
今回のやわらか戦車は今のところ、のまネコのようなトラブルとは無縁に見える。いわば“初の成功事例”になる可能性があり、各事業者とも新しい流れに乗りたいものと参加に積極的だという。
もう1つ、参加企業数が多い理由としてライブドアとファンワークス側の戦略も見逃せない。一般にキャラクターグッズは、1つのジャンル/カテゴリーを1社がとりしきることがある。「例えばA社がキャラのぬいぐるみを作ったら、ほかの事業者はぬいぐるみは作れない。極端なことを言えば、A社が権利だけ押さえて何も作らなくても、B社やC社はそのキャラのぬいぐるみを開発できない」(同)
だがやわらか戦車の場合は、個別の製品ごとに商品化を認めている。「やる気のあるところにクオリティの高いものを作ってほしい」(同)という発想だが、これにより同一ジャンルで複数の企業がグッズをリリースすることも可能だ。必然的に参加企業数も多くなる。
●“ネット発”のコンテンツとして、双方向志向で
やわらか戦車は、ネット発コンテンツであるというアイデンティティを大切にしている。それを示すのが、前出の企業群が参加するブログ「やわらか戦車連合軍BLOG」をオープンすることだ。これは、各メーカーの開発担当者が商品の進捗状況を報告するというサイト。
「まだ製品が未完成の状態でも、写真を公開したりしてグッズができていく過程を見せたい。ユーザーの間で『あんなことをしているらしい』と、話題にしてもらえれば。時には『似てないにも程があるので、退却ー』などとツッコミを入れてもらって、親しみのもてる製品にしたい」
オフィシャルブログ以外に、一般のユーザーのブログでの口コミ伝達力を活用すべく、やわらか戦車のブログパーツを提供するというアイデアもある。高山氏は、こうした双方向性のある取り組みはキャラクター業界としては珍しく、おそらくは初めてでないかと話す。
ネット上で産声を上げた“史上最弱の兵器”は、いつしか多くの企業を巻き込みスケールアップした。その動向がキャラクター業界の行方を占うことになる……と、もしもやわらか戦車に教えてあげたなら、当人はキョトンとしてきっとこう言うだろう。
「何だか話が大きくなっているので、退却ー!」
http://www.itmedia.co.jp/news/
(ITmediaニュース) - 7月5日21時9分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060705-00000043-zdn_n-sci