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2006年07月05日(水) 00時00分

テレビの将来を描くのは、NHKの「頭脳」読売新聞

 日本独自の高精細画像方式「ハイビジョン」など、放送を高度化する技術を開発し続けるNHK。その「頭脳」にあたるのが、東京都世田谷区にあるNHK放送技術研究所(技研)だ。研究企画担当部長を務めた藤沢秀一さんに、技研の描くテレビと私たちの関係を聞いた。

視聴者、制作現場双方のニーズに応える

藤沢 秀一  ふじさわ・しゅういち
NHK 総合企画室(デジタル放送推進)統括担当部長。
 1955年東京都生まれ。79年上智大学理工学部卒業、80年NHK入局。技術局計画部担当部長として、デジタル放送のコンテンツ(番組内容)保護や、サーバー型放送の運用規定の策定などを担当。NHK技術研究所(研究企画)部長として、研究計画の策定や、施設の一般公開など広報業務を担当。2006年6月から現職、主にデジタル放送の推進を担当。
—— 技研の名は、まだなじみが薄そうですね。

藤沢 技研は、1930年に「技術研究所」という名で設立され、84年に現組織になりました。現在300人弱の職員で、さらに便利で役に立つ放送をめざして研究に取り組んでいます。ここ数年間、常時1000を超える特許保有件数を抱えています。

—— 開発には、どんな方向性で取り組んでいるのでしょう。

藤沢 3本の柱があります。

 第1が、「究極の高臨場感」の提供です。スーパーハイビジョンや立体テレビがこれに当たります。成果は、昨年の「愛・地球博(愛知万博)」で、600インチの大画面を公開して、156万人にお見せできました。

 第2が、何層もの情報が詰まった、「高度なコンテンツ(番組内容)」の制作です。たとえば、大リーグの中継をしながら、同時に選手のユニホームの色や背番号、球場の歓声の大小などをデータにして特定の「印」をつけられるような技術があったら、どうでしょう。ホームランなどの特定の場面を、視聴者が容易に検索できるようになるはずです。

 第3は、「いつでも、どこでも、誰でも放送が楽しめる環境」を作ることです。折り曲げられるディスプレーや、指で触れば内容がわかる電子番組表を開発することも、同時に進めています。

 この3本柱を支える人間科学的な基礎研究も不可欠と考えています。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20060705nt05.htm