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■階段使う住民たち
「疲れた時や重い荷物がある時、やむを得ずエレベーターに乗るが、ふだんは階段を使う。安全と確認されるまで、乗る気になれない」。事故の起きた港区の公共住宅「シティハイツ竹芝」十九階に住む男性会社員(35)は言う。
事故は、毎日のように使うエレベーターへの信頼を揺さぶった。隣の同型機一基は稼働しているが、不安から階段を上り下りする住民たち。体の疲れや精神的なストレスを訴える人も多い。
事故機はスイスに本部を置くシンドラーエレベータ製。シ社製のトラブルが相次ぎ報告され、港区は同マンションや併設の福祉施設に計五基ある同社製品を、すべて他社製に切り替える方針だ。特注のため交換は十一月末以降になる見込みで、約二十世帯が一時転居を申し出ているという。
■立件への長期捜査
警視庁捜査一課は、事故機の現場検証を終えている。昇降をコントロールする制御盤の誤作動やブレーキ系統の不具合を視野に入れ、関連機器を分解。科学的な鑑定を行い、製造、保守点検、施設管理の三者らから事情聴取を続けている。
検証では、ブレーキ部品の調整に狂いが生じていた疑いも浮上した。二〇〇四年度以降、保守点検業者が毎年入れ替わっており、保守の実態解明も捜査の重点になる。
国土交通省によると、事故機を含むシ社製の同型機九基の調査では、他社製より不具合が多く、とくに事故機は突出していた。しかし、刑事責任追及には、原因究明とともに事故の予見性や回避義務などの立証が欠かせず、立件にはなお半年以上要するとみられる。
■安全に向けて模索
今回の事故がきっかけで、メーカーと保守点検業者間で情報が共有されず、メーカーが系列外の保守点検業者に情報や交換部品を出し渋りする実態も明るみに出た。
国交省は、専門家らのワーキングチームを設置し、欠陥情報の共有化や開示の仕組みづくりに関する協議に着手した。
「残念な形だが、女性誌でエレベーターの構造が紹介されるなど、これまでになく利用者の関心が高い」と日本エレベータ協会の担当者。保守点検の現場では、広がる不安を示すように「異音や到着時の数センチの段差など、従来は気にされなかったことにも点検の依頼が入る」という。
一方で、メーカー系列でない大田区内の保守点検業者は「事故の後も、閉鎖的な業界の体質は何ら変わらない」と話す。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060702/mng_____sya_____004.shtml