2006年06月29日(木) 16時37分
WSJ-ヤフー「クリック詐欺」訴訟の和解案、判事が予備承認(ダウ・ジョーンズ)
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)競争相手の広告支出を膨らませるなどの不正な目的でインターネット上の広告をクリックする、いわゆる「クリック詐欺」をめぐり、広告主を保護する適切な対策を講じなかったとして米ヤフー(Nasdaq:YHOO)が訴えられていた訴訟の和解案について、米連邦裁判所の判事が予備承認を与えた。
ロサンゼルスの連邦地裁のクリスティーナ・スナイダー判事が予備的に承認した和解案は、ヤフーが訴訟費用約500万ドルを支払い、広告主によるクリック詐欺の訴えを2004年1月にさかのぼって調査するといった内容。ヤフーは通常、広告主からのクレームの調査は過去60日以内のものに限っている。
クリック詐欺は、競合他社の広告費用を膨らませたり、自身の手数料を稼いだりする不正な意図で行われる。広告主がクリック数に応じて料金を支払う仕組みを悪用したものだ。ヤフーは自社サイトのほか提携会社のサイトの広告の仲介も行っている。ヤフーと同業の米グーグル(Nasdaq:GOOG)は、クリック詐欺が広告主からの信頼と業界の利益にとって脅威になる可能性があると、たびたび警戒感を示していた。
この訴訟は民間調査会社チェックメート・ストラテジック・グループ(フロリダ州デルレービーチ)が昨年提起した。スナイダー判事はこれに対し、和解目的で集団訴訟としての予備認定を与えた。これは、最終承認されれば、他の管轄区域でヤフーを相手取った起こされた同様の訴訟に優先することを意味する。現在、この集団訴訟に加わっている広告主は異議申し立ての期間を与えられている。チェックメートは、ヤフーに契約違反と不公正な事業慣行があったと主張している。
この集団訴訟で原告側代理人を務めるカバテック・ブラウン・ケルナー(ロサンゼルス)のブライアン・カバテック弁護士は「ヤフーはこのクリック詐欺に対処するため適切な努力を尽くした」とコメントした。ヤフーは和解交渉プロセスの一環として、クリック詐欺を発見するため原告側に同社の機密システムの一部へのアクセスを許したほか、問題の取り扱いに関する機密情報を提供した。
ヤフーのレジー・デービス副法務部長は「当社は和解条件に非常に満足している」と語った。同社は和解案に基づき、この問題に関する広告主の要請への対応を改善するため多様な処置を講じ、クリック詐欺を撃退する努力について透明性を高める、とした。
一方、グーグルは3月、アーカンソー州の小売業者レーンズ・ギフツ&コレクティブルズとフロリダ州の民間調査会社マックス・コールフィールドが同社を提訴したクリック詐欺訴訟で、訴訟費用と広告枠の提供など最大9000万ドル相当を支払うことで合意している。
この和解はグーグルに対する集団訴訟にも適用されるが、判事の最終承認待ちとなっている。ヤフーはレーンズの訴訟でもグーグルとともに提訴されており、チェックメートとの和解によりレーンズの訴えを免れる可能性もある。
(ダウ・ジョーンズ) - 6月29日16時37分更新
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