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新法は労働者と使用者との間で交わされる労働契約ルールを明確にし、労使紛争を事前に防止することなどが目的だ。背景には非正規社員の増加や解雇・賃金カットなど個別労働紛争相談件数が昨年度十七万六千件と過去最多となったなどの状況がある。
厚労省はこのほど労働政策審議会分科会に素案を示した。新法の基本理念は「労使対等」で「良好な契約関係の維持」と「労使双方の誠実な履行と権利乱用の禁止」などとしている。その上で(1)就業規則の変更が円滑に行える労使委員会の設置(2)裁判で解雇無効と判断されても金銭の支払いで円満に解決できる仕組みの検討−などを提案している。
また労働時間関係では長時間労働の抑制策として(1)労働者へ年次有給休暇の確保義務づけ(2)月三十時間超の時間外労働の割増率を現行25%から50%へ引き上げる−などを提示。その一方、自律的労働時間制度を創設し労基法の「週四十時間労働」の適用除外を管理職以外にも広げる−などの項目を取り上げている。
労働契約法と労働時間法制の論議は一九九〇年代から始まり、昨秋に同省研究会が具体的な提言を行っている。今回の素案は過去の検討状況をベースに厚労省がまとめたもので、法案の理念や検討項目などを明確化した点は評価できる。
だが労使ともに反発は強い。
連合は労働契約法は必要とする立場だが、労使委員会制度は労働条件の安易な切り下げにつながりかねないと指摘。解雇の金銭的解決にも「労働者側から求めるケースはあるが、使用者側から申し出ができるようになれば、金さえ払えばと歯止めがきかなくなる」と批判する。
日本経団連は逆に、解雇の金銭的解決の導入とホワイトカラー労働者の労働時間規制の適用除外の拡大が関心事だ。それ以外の時間外労働の割増率アップや有期労働契約のルール化などは「想定していない項目」と“拒否”の姿勢をみせる。
新法の制定は今後の労使関係を大きく変える可能性がある。労働者側の反発の根底には最近の規制緩和で派遣労働の拡大や労働時間規制の緩和など、政府・経営側に押され気味という不満もある。新法で働く者の立場が強固になるのか。使用者側にも使いやすい内容になるのか。ここは徹底的に議論する必要がある。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060629/col_____sha_____002.shtml