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2006年06月20日(火) 01時43分

6月20日付・読売社説(2)読売新聞

 [地域団体商標]「『看板倒れ』とならぬように」

 米沢牛、和歌山ラーメンなど地域名と商品名を組み合わせた地域ブランドの商標登録申請が相次いでいる。

 4月からの商標法改正で、事業協同組合などが申請する地域ブランドが、新たな制度として設けられた「地域団体商標」として登録できるようになった。既に申請は450件を超えている。特許庁は、半年間かけて審査結果を出す。

 法改正以前は、「西陣織」のように全国的に高い知名度がある場合か、静岡県の「三ヶ日みかん」のように図形デザインとセットにした場合に限って、地域ブランドの商標登録は認められていた。

 今後は「隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されている」などの条件を満たせば、地域団体商標を取得できる。

 地場産品のブランド化を進めることによって、その評価を高めることが出来るのならば、地域経済の活性化に大いに役立つはずだ。

 商標は団体が取得するが、商品を作るのは個別の業者なので、商品の品質は必ずしも一律とは言えない。

 柳行李(やなぎごうり)をルーツとする「豊岡鞄(かばん)」の復権を目指す兵庫県鞄工業組合は、地域団体商標の申請に先立って、組合内に地域ブランド委員会を設けた。縫製や強度などを委員会で厳しく審査し、合格したごく一部の“最高級品”に限って、「豊岡鞄」と認定することとした。

 このように組合が基準を設けて、品質管理に努めるのも一つの方法だろう。

 登録された地域団体商標を、類似の偽物から守るために監視体制を確立していくことも、今後の課題だ。

 法改正を機に発足した京都ブランド商標推進協議会は、京都を名乗る商品の情報収集などに取り組んで行くという。

 複数の団体が、同一または類似のブランド名で出願する騒動もおきている。

 「京菓子」「京人形」「京念珠」は、二つの組合から出願があった。

 愛知県では、岡崎市内の組合が「八丁味噌(みそ)」を出願したのに対し、県の組合が「愛知八丁味噌」を出願している。

 特許庁の審査基準では、同一地域で同一または類似の商標を使用する複数の団体がある場合、消費者の混乱を避けるため、原則として登録を受け付けないとしている。

 “共倒れ”を防ぐため、複数団体の共同出願に切り替える方法もある。あるいは、登録をあきらめた上で、市場で競い合うのも一つの選択だろう。

 いずれにせよ、商標が消費者の信頼を得るためには、組合側からの分かりやすい説明が欠かせない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060619ig91.htm