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2006年06月20日(火) 22時53分

<光市母子殺害>死刑の可能性「恐怖と向き合え」毎日新聞

 「これからまた、どれだけの歳月が流れるのか」。山口県光市で99年に起きた母子殺害事件の上告審判決に対し、被告の元少年(25)に死刑を求め続けてきた遺族の本村洋さん(30)は「最高裁自ら判決を下してほしかった」と静かに切り出した。一方で、無期懲役判決の破棄で、被告が死刑になる可能性は高まった。「命を取られる恐怖と向き合って反省し、人の心を取り戻してほしい」。本村さんは語気を強めた。【安部拓輝】
 午後3時。妻弥生さん(当時23歳)と夕夏ちゃん(同11カ月)の遺影を両手に抱えた本村さんは、うつむき加減に目をつむり、判決を聞いた。「原判決を破棄する」。閉廷後、そばに寄り添う遺族らと立ち上がって、裁判官に深く頭を下げた。
 「最高裁で死刑判決を下してほしかった」。本村さんは会見で切り出した。「無期懲役にならなかったことに感謝はしている。しかし、ここまで7年かかった」と裁判が続くことに徒労感をにじませた。
 結審後の4月中旬、現場のアパートを訪れた。7回目の命日に届いた花の鉢のそばにジュースを供え、手を合わせた。語りかける言葉は何も浮かばず、自分にそっと言い聞かせた。「どんな判決が出ても、僕は自分の人生を一生懸命生きるから」
 「私がこの手で殺す」。1審判決後、無念さを吐き出した発言には、批判も相次いだ。インターネットでは「人殺し」と中傷の書き込みをされ、犯罪被害者の権利拡大を求めて運動する姿を、被告にまで揶揄(やゆ)された。
 そんな被告が判決を前に、反省の心境を語っていると漏れ聞く。「自分の命を取られることを初めて実感したときに、自分の犯した罪の重さを知る。それこそ死刑という刑罰の意味だと思う」。会見で力を込めた。
 「被告は18歳以上。刑法でも死刑を認めている。何とか人間の心を取り戻して死刑を受けてほしい。悔い改めてもなお、命を落とさなければ償えない罪がある。その残酷さを知って、犯罪が起こらぬようにする方法を社会は考えなければならない」。2、3日後には、2人が眠る北九州の墓を訪れる。「区切りがついたよ」と語りかけるつもりだ。
(毎日新聞) - 6月20日22時53分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060620-00000129-mai-soci