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2006年06月17日(土) 00時00分

うみゃ〜で上京だがね読売新聞

手羽先、あんかけスパ…

 手羽先、みそカツ、あんかけスパゲティ……。名古屋の名物料理を味わえる店が首都圏で増殖中だ。昨年の愛・地球博(愛知万博)も追い風になったが、「一時的なブームでは終わらせない」と関係者の鼻息は荒い。東京にも、うみゃ〜店があるで、行ってみゃ〜。


テーブルには看板メニューの手羽先(手前)などが並ぶ(「世界の山ちゃん」神田西口店で))

 午後7時。東京・神田駅近くの居酒屋は、仕事帰りの人でごった返していた。今年3月に開店した「世界の山ちゃん」神田西口店だ。

 看板メニューの手羽先を割りばしで上品に食べようとする若い女性を、隣の男性が冷やかす。「ガブッと食いついちゃえば!?」

 人気は、「幻の手羽先」(5本399円)、海老(えび)天むすび(315円)、どて煮(409円)、みそとんかつ(609円)など。いずれも名古屋を代表する食べ物だ。

 同僚とやってきた江東区の会社員・鮎瀬(あゆがせ)恵子さん(24)は「スパイスが効いて、しつこさもない」と、サクサクした手羽先に舌鼓を打った。

 店を運営する「エスワイフード」(名古屋市)は、2003年9月から今年3月にかけて、都内と神奈川県に計12店を次々と展開。進出のきっかけは、「東京に帰っても食べたい」という出張客や旅行客の声だったという。

 同社東京事務所の加藤孝一課長(33)は「コテコテの名古屋メニューを打ち出したい」と意気込む。客1人あたりの1回の平均出費額は、東京の方が名古屋より約300円高い。「手羽先の注文数は生ビールとほとんど同じ」という。


太めんにとろみソースがかかった「あんかけスパゲティ」(「パスタ・デ・ココ」千代田区末広店で)

 カレーの専門店として知られる「壱番屋」(愛知県一宮市)は、名古屋特有のあんかけスパゲティ店「パスタ・デ・ココ」を都内で2店展開している。

 出てきたスパゲティは太めんで、赤みがかった色の謎のソースがかけられていた。「『カレーのソースなの?』と聞かれることがあるが、トマトをたっぷりと煮込んだソースです」と店員が説明する。

 初めて食べる人の反応は、真っ二つに分かれる。「太すぎて食べにくい」などと拒絶する人、「どこか懐かしい味がする」という人。

 千代田区末広店の福田純也店長(33)は、「1回じゃダメ。2回、3回と食べるうちに病みつきになる」と自信を見せる。その言葉を裏付けるように、2店とも売上高は着実に伸びているという。

 選べるトッピングはハンバーグ、ソーセージ、ホウレンソウなどと数多い。カニクリームコロッケがのっているカニクリカルボ(900円)を注文した練馬区の吉橋なるみさん(21)は、「こってりしておいしい。あんかけスパという名前もかわいい」。


 「名古屋いい店うみゃ〜店」(文芸春秋刊)という本が昨年3月に出版された。東京在住の名古屋人たちが地元の人たちに呼びかけ、「名古屋グルメ100人委員会」という団体を結成し、取材、執筆した。

 表紙を飾るイラストは名古屋コーチンや金のシャチホコ。味やおすすめ度の評価はシビアだが、銀座店もあるみそカツの老舗「矢場とん」本店は、「うみゃ〜度」と「いっぺんいってみゃ〜度」で5点満点。高田馬場にもあるラーメン店「スガキヤ」大須店も、「お値打ち度」で5点満点を獲得している。

 本は既に約1万2000部売れた。「首都圏でも売れ行きは好調で、名古屋出張が多い会社員のバイブルになっている。名古屋グルメが一つの文化として根付いた」と、100人委員会発起人の会社員横山陽二さん(37)は胸を張る。

 「やっとかめ!大(でゃあ)名古屋語辞典」の著書もある名古屋市出身の作家清水義範さん(58)(東京在住)は、「珍品のグルメが東京の人たちに受け入れられた。万博の開催も追い風になったのだろう」と分析。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミスト内田俊宏さん(38)(一宮市在住)は、「値段や品物への評価が厳しい名古屋で生き残ってきた店は、東京でも競争力がある。今後も首都圏を狙う店は増えていくだろう」と見る。

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