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日本消費者協会(東京)が、設立時から40年以上続けてきた商品比較テストを事実上中止した。背景には、財政難や商品の基本性能の向上があるが、商品のチェック機能の低下を心配する声もある。
商品比較テストは1961年、消費者への情報提供、テスト結果を通じた商品の品質向上などを目的に始まった。これまで家電製品や化粧品など282品目について、延べ779回のテストを行った。
複数メーカーの商品について、同協会のモニターによる使用テストや、専門機関での性能試験などを実施。結果は、商品名をあげて使い勝手や耐久性、表示の分かりやすさなどをランク付けして、同協会発行の雑誌「月刊消費者」で公表していた。出版編集部長の関沢七重さんは「読者アンケートでも人気の高い看板コーナーだった」と話す。
また、400リットルクラスのノンフロン型冷蔵庫6台で、年間の消費電力量がカタログ記載値に比べて2〜4倍になることを指摘したり(2004年7月)、外国製のサイクロン式電気掃除機の吸い込み率が過大に表示されていることを明らかにしたり(05年11月)など、商品のチェック機能の役割も果たしていた。
中止の大きな原因は、経済産業省からの補助の打ち切りだ。同協会や経産省によると、2000年度までテスト費用のほぼ100%が補助されていたが、01年度から半減、04年度で打ち切られた。このため、同協会は05年度、新たなテストに着手できなくなった。今年から、商品テストを担当する部署も縮小、活動を休止している。
経産省消費経済政策課は「テストを始めたころと違い、商品の基本性能はほぼ満たされ、消費者は様々な形で情報を得られるようになった。費用対効果、予算のスリム化が求められる中、国が金を出す意義は薄れた」と説明する。
また、近年、商品の高機能化が進み、テストにも高度な知識や設備が必要になった。商品の発売周期が短くなり、テスト結果が出るころには新製品が売り出され、時宜にかなった情報が提供できないなどの課題も表面化していた。
このような状況を背景に、国民生活センター(東京)は01年、商品比較から、主に身体に危害を及ぼすケースに特化した「問題提起型」へテスト方法を変更。同センターによると、各地の消費生活センターのテスト機関も、1998年度の77か所から2004年度の37か所に減り、テスト件数そのものも236件から102件に半減した。
消費者政策に詳しい日本女子大学家政学部助教授の細川幸一さんは「格付けにどの程度の意味があるかは疑問だが、テストで明らかになる性能表示のごまかしなどは少なくない」と話す。高齢者が増え、商品の機能が複雑化する中、「消費者の立場から商品を監視する機能としてのテストは必要」と指摘している。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20060617ok02.htm