2006年06月15日(木) 03時08分
<エレベーター事故>ブレーキ不良放置 保守業者(毎日新聞)
東京都港区のマンションで都立高2年、市川大輔(ひろすけ)君(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、保守点検を請け負っていた「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)社員が、警視庁捜査1課の事情聴取に「点検時に、ブレーキの利き具合を調整するナットの位置がおかしいと思ったが、そのままにしていた」と証言していることが分かった。同課は、ブレーキ不良を調整していれば事故を回避できた可能性が高いとみて、さらに捜査を進めている。
事故機は、ブレーキが利きにくくなっていたことが分かっていたが、ブレーキパッドにずれが生じ、モーター軸のドラム(円筒)を十分に締め付けられない状態だったことが、同課の検証で新たに判明した。さらに、ブレーキ部品に付いているナットの締め具合が甘いなどの問題も見つかった。
エス社は今年4月にエレベーターの保守点検を受注した。4月13日に初めて点検をした際、この社員は機械室にある巻き上げ機などを目視でチェックする作業にあたったが、「巻き上げ機のブレーキに付いているナットの位置がおかしいと思った。しかしシンドラーエレベータ社製の機械を扱ったことがなかったので、どうしていいか分からず、そのままにしていた」と話している。
死亡事故は、エス社の初点検から51日後の今月3日に起きた。この間にも3回の保守点検を行っていたが、ブレーキ部品を調整し直す作業は一度もしていなかったという。
同課は、エス社の社員がブレーキの調整不良に気づきながら、2カ月近くも補修に手を付けていなかったことに注目。製造部品の問題も調査しながら、保守点検について重点的に関係者から事情を聴いている。【宮川裕章、鈴木泰広】
(毎日新聞) - 6月15日3時8分更新
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