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電話機器リース契約の構図
悪質な電話機器リースをめぐる相談数の推移
「テレビの地上波と同じで、電話回線もまもなくデジタルに変わる。ファクスも、この機種は使えなくなりますよ」
大阪市の鉄板加工業の男性(48)は03年末、訪ねてきた若い販売会社員にそう言われ、業務用ファクスのリース契約を結んだ。月1万4200円の支払いは高いと感じたが、「仕方ない」とあきらめた。
昨年7月、今度は別の販売会社の営業マンが売り込みに来た。「この装置を付ければファクスも安くなる。前回のリースはこちらで処理しますから」。言われるままにオフィス向けIP電話機と付属装置を月8000円で契約した。しかし、その後も従来通りのリース料を請求され、だまされたと気づいた。
6年後まで続く支払いの総額はファクス約100万円、IP電話一式約60万円。それぞれの定価(販売価格)の3〜4倍だ。契約は、クーリングオフの権利を認めた特定商取引法が適用されにくい事業者名義で、販売会社も「違法性はない」と主張し、返品に応じない。
東京都で豆腐店を開く男性(65)は今年3月までの4年間に、電話やパソコンなど6件の契約をリース会社や信販会社5社と交わし、総額1000万円超のリース料を抱え込んだ。完済は6年先になる。
電話機リースは、販売会社が契約交渉にあたり、電話機器を使う事業者はリース会社と契約を結ぶ仕組みだ。販売会社はリース会社から商品代金を一括で受け取り、リース会社は事業者が毎月支払うリース料を得る。そんな「役割分担」を悪用する形で、代金を手にした途端に行方を消す販売会社もあるという。
リース業界では、「オリックス」や「NTTリース」など十数社が電話機リースを扱っている。経済産業省は昨年末、特定商取引法に基づき、販売会社とリース会社の営業活動を「一体」とみなす通達を出した。
通達を受け、一部のリース大手は事業者らに独自の合意書への署名を求めるなど、対策を取り始めた。ただ、電話機リースは自動車や建設機械などのリースに比べて「小口」のビジネスだ。リース会社のある社員は「契約件数を増やさないと、利益は伸びない。形式的な審査はそう簡単になくならないだろう」と打ち明ける。
電話機やファクスなど事務機リースの市場規模は約2000億円とされ、「電話機リース被害者を守る会」(兵庫県西宮市)は「被害規模は数百億円にのぼる」とみる。
京都弁護士会は13日開いた会合で、電話機リースの被害者弁護団をつくることを決めた。
同会がこの問題で5月末に開いた法律相談会には、半日で40件余りの相談があったという。弁護団は今後、詐欺的契約の無効確認などを求める集団訴訟も検討する。
http://www.asahi.com/national/update/0614/OSK200606140032.html