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Q IPマルチキャスト放送とは。
A 光ファイバーなど高速回線を利用して、インターネットを経由し、映像や音声のデータをテレビに映し出す放送形態をいう。
不特定多数の視聴者が見るこれまでのテレビ放送とは違って、契約した世帯を対象としているんだ。すでにソフトバンク系の「BBTV」など四社が推計約二十万世帯に提供している。
二〇一一年、テレビ放送は地上デジタルに全面移行する予定だが、難視聴地域が出てくるといわれ、それを補完する役割も期待されている。
Q 難視聴地域とは山間部とか?
A 例えば、愛媛県は昨年、地形が複雑で電波効率が悪いため、デジタル放送中継局の整備を政府に要望した。このような電波事情の悪い地域を、IP放送でカバーしようというわけだ。
Q 通信事業者は、そういう仕事を引き受けるだろうか。
A 通信事業者にすれば、そういう地域は、おそらく過疎や高齢化で契約世帯も少なく、割に合わない。やはり、都市部での展開に力を入れたいはずだ。現在、IP放送で映画などを流しているが、人気が高い民放の番組などを都市部で流し、契約世帯を増やしたいんだよ。
Q でも、流そうとしても著作権の問題などで引っ掛かるんでしょ。
A そう。だから通信事業者は、IP放送を著作権法上、放送扱いにしてほしいんだ。
Q 民放は、そうした通信事業者の動きを警戒しているんだね。
A そういうこと。例えば、TBSの番組が県域を越えてIP放送で提供されるようになったら、長野県のIP放送の契約者は、TBS系列の地元の信越放送を見なくなる。
これは地方局にとって大打撃であり、あくまで電波事情の悪い地域などに放送エリアを限定してほしいというわけさ。
Q 地方局の経営が厳しくなり、発信する情報量が減れば、言論・表現の多様性確保の点でマイナスとの見方もある。
A 上智大の音好宏助教授(メディア論)も、「放送メディアの地域発信力は制度的に担保しておくべきだ」と指摘する。
Q 総務相の懇談会も、IP放送は地域を限定すべきではないというのが基本的な考えだったが、最終報告は、ややトーンダウンしているね。
A 最終報告は、「地方局の経営への影響等、現実にはさまざまな問題が生じ得るので、それへの配慮は必要」との表現に落ち着いた。民放の巻き返しが効いたのかもしれないね。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060613/mng_____hog_____001.shtml