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■競争促進
「なぜインターネットでテレビの生放送が見られないのか」「なぜ日本には、米CNNや英BBCのように海外に情報発信するメディアがほとんどないのか」。昨年十一月、竹中氏はこうした発言を繰り返し通信・放送融合議論をスタートさせた。
竹中氏の最大の狙いは、番組などの「コンテンツ」の制作能力を高めた上で国内外に積極的に発信することだ。人口減少や、少子高齢化で近い将来、産業競争力の衰えが懸念されるため、コンテンツを新たな日本の競争力とすることを目指している。
最終報告では、通信インフラの面で独占性の強いNTTの持ち株会社廃止で競争の促進を提言。法体系の見直しで、テレビ局に従属しがちな番組制作会社などが自立できる環境の整備を図る。竹中氏は「専門家に、しっかり議論していただいた」と評価した。
■迫力不足
だが、懇談会の議論は次第に迫力不足になっていったことは否めない。
当初、通信放送をそれぞれ担当する総務省、経済産業省など関係省庁の一元化まで取りざたされたが報告書にはまったく触れられていない。政府内ではNHKの一部民営化案もあったが、小泉純一郎首相が「民営化せずに改革を検討」と早々と否定したことで消えた。
背景にはライブドア事件がある。竹中氏には“市場原理主義者”とレッテルがはられ、急激な「官から民」に対する批判が噴出し強烈な逆風が吹いた。関係者によると、このころから業界側は族議員を使った巻き返しに出た。
「総理は通信放送には興味ないから」。総務省幹部からこんな言葉が飛び出すこともあった。小泉首相のリーダーシップを後ろ盾に、素案を決めて官邸に持ち込み方針を決定。族議員や官僚が反対する中、中央突破を図る竹中氏の手法が今回は機能しなかった。
「党とよく調整したい」。竹中氏は六日の会見でそう語るしかなかった。
■対決
自民党は「通信・放送産業高度化小委員会」(片山虎之助委員長)が総務相懇談会に合わせる形で今月二日、対案をまとめた。NHKの国際放送強化など懇談会と一致する面もある。
しかし、自民党案はNTTの組織改正について「拙速に結論を出すべきでない」と、早急な改革には慎重姿勢を示す。IPマルチキャスト放送については、「地域外への放送の是非は十分な検討」とした。インターネットで全国どこからでも視聴できることを脅威と考える民放の意向を受けてのことだ。
竹中氏は党側との調整を経て「骨太の方針」への反映を目指す。だが党側は「こっちが歩み寄る必要は全くない」と強硬姿勢で主導権を握る構え。小泉政権末期の求心力低下もあって竹中氏は劣勢に立たされそうだ。
「電波利権」などの著作がある元NHKディレクター、池田信夫氏は「政権のエネルギーが十分にある時期ならば難なく進んだ改革だが、政権末期で時期が悪かった。小泉さんの支援もないので(旧態依然とした)党主導で落ち着いてしまうのではないか」と指摘している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060607/mng_____kakushin000.shtml