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2006年06月05日(月) 01時32分

<エレベーター事故>過去2年半で不具合20件報告毎日新聞

 東京都港区芝1のマンション「シティハイツ竹芝」12階で、都立高2年、市川大輔(ひろすけ)君がエレベーターの床と12階の天井に挟まれて死亡した事故で、マンションを管理する港区住宅公社には過去2年半にエレベーターの不具合が約20件報告されていたことが分かった。建物を所有する港区にも住民から苦情が伝えられていた。業務上過失致死事件として捜査している警視庁捜査1課と三田署は、多発した不具合と死亡事故との関連を調べるとともに、メーカーや保守点検業者を含む関係者らから事情を聴いている。
 現場検証などのため8階以上にエレベーターで上れず、住民らは不便を強いられている。
 司法解剖の結果、死因は胸や腹部を強く圧迫したことによる窒息死と判明した。事故は市川君が自転車にまたがり後ろ向きでエレベーターから降りようとした時に発生。体を折り曲げた格好で、頭と足をエレベーター内に残し、背中を外に出した状態で挟まれていたことも新たに分かった。
 マンションは港区が所有し、同区住宅公社が管理している。公社によると、過去の不具合は「シンドラーエレベータ」(江東区)が製造したエレベーター5基のうち事故を起こした5号機と、同型の4号機の2基に集中。03年12月から、扉が開かずに閉じ込められる▽エレベーターの内外の床で段差が生じる▽振動や異音が発生する——など、計約20件の不具合が報告されていた。
 04年11月に扉が開かなくなったケースでは、公社はシンドラーエレベータから調査報告書の提出を受けていた。しかし不具合を区に連絡することはなく、根本的な原因の究明に努めることもなかった。廣井誠一郎・公社事務局長は4日、記者会見で「(不具合が)多発しているという認識はあったが、修理で直っていると判断していた。安易な考え方で管理をしていた」と述べたうえ、「報告書に書かれた分かりにくい専門用語を調べることもなかった」と調査報告書の精査をしていないことを認めた。
 また今年1月、機械式駐車場が故障した際に開かれた住民への説明会で、エレベーターの不具合多発について「不安だ」とする住民の声を、出席した港区の課長らが聞いていた。原因や状況を掲示板などで周知してほしいとの要望だったが、区はこれに応えた周知をしていなかった。
 エレベーターの定期点検は月に2回で、年度ごとに入札で保守点検業者を選定していた。04年4月〜05年3月は製造元のシンドラーエレベータ、05年4月〜今年3月は「日本電力サービス」(多摩市)、今年4月からは「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)が請け負っていた。
 日本電力サービスは「トラブルの連絡を受けての緊急対応は年間で10回ぐらいあった」、エス・イー・シーエレベーターは「今年4月からのトラブルは一件もなかったと聞いている」と話している。シンドラーエレベータは「警察の捜査に協力しているのでコメントは差し控える」としている。
 国土交通省によると、シンドラーエレベータの国内シェアは1%程度という。
(毎日新聞) - 6月5日1時32分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060604-00000057-mai-soci