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現場検証は午前十時半ごろから約二時間かけ、行われた。その様子を見守る住民や市川さんの知人の表情は硬い。
市川さんが、中学時代入っていた少年野球団の後輩の中三男子生徒(14)は、事故を知り現場に駆け付けた。「面白くて、優しくて…人気者だった。みんなから『いっちゃん』って呼ばれていた」と泣きはらした赤い目をエレベーターに向けた。
マンション十八階に住む男性(40)は「降りようとしたら、突然ガクッとエレベーターが三十センチほど落ちたことがあった。いつか大事故が起きると思っていたが…」。
説明会はマンションに併設された区障害保健福祉センターで住民約八十人が参加し、午後三時半ごろから始まった。山田憲司・区環境街づくり支援部長や広井誠一郎・同公社事務局長ら四人が、過去の不具合例や事故を説明。だが住民からは表に出ていない不具合を指摘する声が続出した。原因や再発防止策を尋ねても答えられない行政側に住民の怒りは募った。
「誰もが同じ事故に遭う可能性があった。命を預けているのだから、もっと危機管理意識を持つべきだ」「保守管理業者が毎年変わるが、情報は引き継がれているのか」「本当に扉が開いたまま動いたのか。信じられない」。次々と投げられる住民の声に、行政側は何度も言葉に詰まった。
「私たちは殺人エレベーターに乗せられているのか。これは人災だ」との声も挙がるなど、不満が渦巻いたまま約二時間半で説明会は終わった。
その後、住民の提案で、区と公社と住民の各代表者が、事故原因や今後の再発防止などを探るグループを結成。説明会後に話し合いを行った。
■「こんなに不具合多いのは珍しい」 以前の管理会社
「これだけトラブルの多いエレベーターは聞いたことがないよ」。今年三月まで一年間、死亡事故のあったエレベーターの保守管理を担当していた「日本電力サービス」(東京都多摩市)の横倉利夫社長(53)は四日、東京新聞の取材に、そう打ち明けた。
同社は昨年度、一般競争入札でこのマンションのエレベーターの管理業務を受託。月二回の定期点検に加え、「扉が開かない」「異音がした」などとして緊急の点検が十回ほどあった。
横倉社長は「ほかに管理しているエレベーターに比べ、トラブルが目立った。故障だけでなく、住民が恐怖心を抱いて過敏に反応したケースもあるのでは」と振り返る。港区住宅公社から業務の委託を受けた際、過去のトラブルについてなんら説明はなかったという。
一方、事故機の製造元のシンドラーエレベータは同日、「被害者のご冥福をお祈りし、ご遺族に哀悼の意を表します。原因究明のため、警察の捜査に全力を挙げて協力している」とコメントを発表。過去のトラブルについては「事実関係をはっきりさせ、記録を調べてから話したい」とした。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060605/mng_____sya_____011.shtml