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「だんご3兄弟」「おさかな天国」など食べ物を題材にした歌が大ヒットしたが、最近も地方発の食べ物ソングのブレークが続いている。静岡では女性グループが歌う「冷凍みかん」がブームを巻き起こし、新種野菜をテーマにした山口の「はなっこりーの歌」は携帯電話の着メロサイトで上位ランク入りを果たした。
—冷凍みかん、冷凍みかん、冷凍みかん4個入り——。
静岡県焼津市で5月30日に開かれたミニライブ。女性3人組の「GTP」が歌い始めると約200人の聴衆から自然に手拍子が起こった。地面に座り込んだ幼児が「れいとうみかん〜」と声を合わせる。ライブ後のサイン会では、色紙を手にした子どもたちが「冷凍みかんのお姉さんに会えたよ」と大喜びだ。
GTPの結成は2003年。「冷凍みかん」の歌は、GTPでボーカルとギターを担当する静岡出身の大倉沙斗子さん(24)が、結成前に作った。「旅行に行く時、上野駅で冷凍みかんを買い、電車で食べていて自然にメロディーが浮かびました」
歌詞は、冷凍みかんを「彼」と分け合うという内容。地元の「静岡エフエム放送」が昨年11月から、GTPが出演するラジオ番組などで本格的に曲を流し始めたところ、「誰が歌っているんですか」「もっと流して」とリクエストが殺到。4月5日にはCDが全国発売され、チャート誌「オリコン」の週間ランキングで初登場70位。翌週には63位になった。
歌のヒットに合わせ、静岡では冷凍みかんも爆発的にヒットした。「4個入り」を卸している「ライフフーズ」(東京都中央区)には、例年の3倍以上の注文が舞い込んだという。
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「はなっこりー」という耳慣れない野菜の歌も、全国進出を果たした。
はなっこりーは中国野菜のサイシンとブロッコリーを掛け合わせた山口県オリジナルの野菜。「JA全農やまぐち」が県などと協力して、02年にPRソングを作ったところ、県内だけでなく首都圏の一部スーパーでも昨春から流れ始めた。
—はなっこりーを食べちゃろう 山口生まれのみどり野菜——。
ゲームソフト大手「セガ」社員の高橋雄一さん(37)が深夜、川崎市内のスーパーでこの曲を聴いたのは昨年4月のこと。携帯着メロサイトの楽曲選定などを担当している高橋さんは翌日、「いけると思う」と会社で提案した。
それから約2週間後、この曲が同社の着メロサイトに登場。その翌週には約1万曲ある着メロ中6位にランクインした。県流通企画室の福永晴夫次長は「おかげさまで、はなっこりーの生産量も消費も伸びています。着メロ効果は絶大ですよ」と話す。
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大ブレーク 消費も拡大北海道で生産過剰の生乳が廃棄されるなど、深刻化する「牛乳離れ」。なんとか歌で歯止めをかけようと立ち上がった人がいる。埼玉県深谷市で乳牛60頭を飼育している酪農家の村川徳浩さん(46)だ。
「乳搾りの出来るシンガー・ソングライターでーす」。5月21日、さいたま新都心駅前で開かれた農林業イベントに、村川さんは牛の着ぐるみで登場。「踊ろう朝まで 楽しく乳搾り〜」などと汗だくになりながら、「ミルクソング」など4曲を熱唱した。自ら手がける音楽を「乳ミュージック」と名付ける。
牛乳のPRソングを自作し、都心の駅前などで歌い始めたのは01年夏。娘が通っていた小学校の運動会でも牛の着ぐるみでステージに立った。「お父さん、恥ずかしい」と最初は嫌がった2人の娘も、今では、休日のたびに着ぐるみで出かけていく父親を温かく見守るようになった。
最近では県内イベントで村川さんは引っ張りだこ。日本酪農乳業協会は村川さんの曲をモチーフに、ネット上で「乳ミュージックDEちちしぼり」というゲームを公開している。
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時に驚くほどのヒットを記録する食べ物ソング。「おさかな天国」を作詞した作詞家・井上輝彦さんは「最初からヒット狙いではなく、作り手の情熱が結果として名曲を生み出す。メロディーや歌詞に込めた純粋な思いが結実した結果のヒットなのです」と強調する。
音楽プロデューサーの酒井政利さんは、「普段は忘れているけれど、皆が一度は食べたことがある。そんな食べ物の曲が好まれる。歌うことでその食べ物を『共有』できるのが心地いいのです」と指摘する。
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