2006年06月01日(木) 03時06分
「駐車監視員」スタート ニセモノ注意 駐車場業者も受託…問題点(産経新聞)
道交法改正による駐車違反取り締まりの民間委託が1日、東京都の12区や、山口市を除く45道府県の県庁所在地など全国102市町の繁華街や幹線道路でスタート。全国270署で、違反車両の確認に当たるのは「駐車監視員」。短時間の違反も取り締まり対象となるが、新制度の導入には拙速の感もあり、いくつかの問題点を残したままでの“発進”だ。
警察庁によると、受託法人は全国で74法人。主な内訳は警備業41法人、ビル管理業14法人など。全国で約1600人の監視員が登録された。
監視員は、放置車両を確認後、違反状況を携帯端末に入力して標章(ステッカー)をプリントアウトし、フロントガラスに張った時点で違反が成立。これらの作業は5分ほどの見通し。標章を張るまでにドライバーが戻ってくれば違反にはならない。「速やかに車を移動するか、駐車場に入れて」と警告する。
ここで、問題となりそうなのが「あそこに駐車場がありますよ」と、自分たちの会社が関係する有料駐車場を紹介するケース。受託法人には駐車場管理業も含まれており、この問題を懸念している東京都荒川区の斉藤裕子区議は「駐車場管理業者が駐車違反の取り締まりを行うことは公平性を欠くのではないか」。警視庁幹部も「移動してもらう際、『駐車場に入れてください』というならいいが、特定の駐車場名を挙げるのは問題かもしれない」と話す。
監視員から直接反則金を徴収されることはない。ただ、制度の周知は完全といえず、間隙(かんげき)を突いて“ニセ監視員”が出現することも心配されており、注意が必要だ。
介護事業者や福祉関係者からは「駐車場がない街の病院に高齢者や障害者を送る場合は、どうしても問題が発生する」との声も。駐車場がない病院の場合、車から病院の受付まで行くのに最低10分はかかるという。市民福祉団体全国協議会は「歩行困難な高齢者や障害者を送迎、介助する間は対象外にできないか」と厚生労働省に相談したが、具体的な対応策は得られていない。
綜合警備保障は1日以降は都内の取り締まりの重点路線では自転車で現場に急行する。だが、対策を講じていない業者は多く、違法駐車せざるを得ないのが現状で、監視員とのトラブルの火だねは残されたままだ。
(産経新聞) - 6月1日3時6分更新
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