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2006年05月31日(水) 00時00分

【関連】 『治療しても結論同じ』 弁護団の主張一蹴 東京新聞

 控訴棄却は正当−。オウム真理教元代表麻原彰晃被告(51)=本名・松本智津夫=の弁護団が控訴棄却を不服とした異議申し立てについて、東京高裁(白木勇裁判長)は弁護団の主張をことごとく退けた。弁護団は最終手段として最高裁に特別抗告する方針を表明したが、訴訟再開に向けた状況はさらに厳しくなった。 

■控訴趣意書

 控訴棄却の最大の理由は、弁護団が控訴趣意書を昨年八月末の延長期限までに提出しなかったことだった。弁護団は「裁判所は昨年八月の打ち合わせで『精神鑑定の意見が出るまでに提出すれば認める』と明言した」と主張したが、白木裁判長は「裁判所はその日のうちに見解を訂正した」と退けた。

 弁護団は今年三月末の控訴棄却直後に趣意書を提出したが、裁判長は「内容や実質四ページという量からみて二〇〇五年一月の当初期限内に提出可能だった」と指摘。「精神障害のある麻原被告と意思の疎通ができず、趣意書を作成できなかった」という弁護団の主張は「法律家としての知識と見識に基づいて作成することが期待された」と一蹴(いっしゅう)した。

■訴訟能力

 白木裁判長は争点となった麻原被告の訴訟能力も検討。(1)弟子の被告が麻原被告の公判で不利な証言をしたため、弁護人に失望し接見をほとんど拒否した(2)弁護人から保釈は無理と聞かされ、絶望して意思の疎通を図らなくなった(3)弟子たちの公判では活発に教義などを語った(4)一審の最終段階で、質問が分かっていながら答えない様子が見て取れた−などを理由に一審では十分な訴訟能力があったと述べた。

 控訴後も拘置所での振る舞いなどから、訴訟能力を失ったとは認められないとした。

 さらに「被告の症状は拘禁反応とみてよく、治療で精神状態を正常に戻して裁判をするという選択肢も考えられなくはない」と弁護団に一定の理解を見せながらも、控訴趣意書を期限内に提出しなかったことによる控訴棄却は「免れようがなく治療をしても結論は変わらない」と断じた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060531/mng_____sya_____009.shtml