2006年05月31日(水) 15時14分
<自殺対策法>8年連続で3万人超… 超党派の議員立法で(毎日新聞)
自殺者が8年連続で3万人を突破しそうな社会情勢の中、自殺対策を国や自治体の責務と明記した「自殺対策基本法」案が与野党間で内容について合意し、今国会で超党派による議員立法として成立する見通しとなった。同法を巡っては東京のNPO法人が中心となって、与野党の有志議員と連携し成立を求めて、全国で署名活動などを展開していた。
同法は目的を「自殺の防止」と「自殺者親族のケア」の充実に置き、基本理念として「自殺対策を個人の問題ととらえず、社会的な取り組みとしてとらえる」ことを掲げ、事業主にも雇用者の心の健康を保つ措置を講じるよう求める。
さらに「政府は必要な法律上、財政上の措置を取らなければならない」とし、基本的な施策として(1)自殺防止の調査研究、情報収集(2)自殺の恐れがある人が受けやすい医療体制の整備(3)自殺の危険性が高い人の早期発見と発生回避(4)自殺未遂者と自殺(未遂を含む)者の親族に対するケア(5)自殺防止に向けた活動をしている民間団体の支援、などを挙げている。
政府は自殺問題で昨年9月、厚生労働省や警察庁、文部科学省などによる関係省庁連絡会議を設置。厚労省は今年3月、都道府県などに対し、「自殺対策連絡協議会(仮称)」を設けるように要請したが、省庁を超えた施策はまだなく、財政面の裏付けや法的根拠のない「要望」止まりとなっていた。
警察庁によると、04年の自殺者は3万2325人。交通事故死者に比べて4倍以上。人口10万人当たりの自殺死亡率(00年、厚労省データ)は日本が24・1人で、米国の約2倍、英国の約3倍に達している。【玉木達也】
(毎日新聞) - 5月31日15時14分更新
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