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酷似が指摘されているのは、昨年4月から三重、東京、茨城の美術館で開催し、芸術選奨の受賞理由となった回顧展「ドラマとポエジーの画家 和田義彦展」の出展作など。和田さんがイタリア留学中に交流があったローマ在住の画家、アルベルト・スギさんの作品と構図などが似ている。ある群像画では、踊る人の手足の形など細かい姿勢が一致。背景以外が酷似した人物画や抽象的な描線まで似た作品もある。
4月上旬、専門美術家らで構成される社団法人「日本美術家連盟」に匿名の投書があり、文化庁が調査を開始。現時点では十数点が似ていると判断している。文化庁はイタリアに職員を派遣してスギ氏の主張を確認した。スギ氏から盗作の正式な指摘が出れば、芸術選奨を選考した審査員に諮る方針だ。盗作と認定されれば、授賞取り消しも検討する。
これまでの調査では、和田氏は「スギ氏とは交流があり留学中に影響を受けた。酷似しているのは一緒にデッサンしたり共同制作したためだ」と説明。スギ氏は「コピーであり、やりすぎだ。あり得ない話」と主張しているという。
和田氏は東京芸術大大学院(油画科)を修了後、イタリアに留学。美術団体「国画会」で受賞を重ねたほか、平成14年に安田火災東郷青児美術館大賞を受賞した。スギ氏はイタリア現代美術展の協会長も務め、同国内では著名な画家。
美術界では、他者の作品を一部借りる行為が珍しくなく、「盗作」かどうかの判断は難しいが、国内では動物写真を無断借用した画家が大学教員を辞めた例もある。美術評論家の瀬木慎一さんは「ほかの作家の作品を使う行為は多くの巨匠もしているが、これは全然違う次元の問題だ。なぜこんなことになるのか」と話している。
(05/29 02:04)