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「村上氏がきっかけとなって戦後初の鉄道会社の統合が実現することになる。この統合は必ず両社の成長に貢献する。村上氏も両社の統合には賛意を示しており、930円という価格に応じてもらいたい」
大阪市北区の阪急電鉄本社1階ホール。集まった200人以上の報道関係者を前に、阪急の角和夫社長(57)はこう話した。ただ、村上氏側の応募がなかった場合については、「ここではお話ししたくない」と述べるにとどめた。
同席した阪神の西川社長は、「村上氏はかねてから鉄道事業の再編に興味を持っていた。今回の買い付けにも理解をいただきたい」と強調。人心の一新を図るため6月末に辞任する意向を表明した。
TOBは今月30日から6月19日までの21日間。TOBの成立には最低1746億円が必要。応募株が45%を超えても全株引き取るため、最大では3921億円の大型買収となる。
阪急はTOB成立後、株式交換により阪神を10月1日付で完全子会社化する。さらに、阪急、阪神の鉄道事業会社を傘下に置く持ち株会社「阪急阪神ホールディングス」と名称変更する。
阪急、阪神の両社は5月の連休明け後、阪神株約47%を保有する村上ファンドとの本格交渉に臨んでいたが、村上氏側は時価を大幅に上回る価格を主張。阪神の株主総会に取締役会の過半を送り込む株主提案を突き付けるなど激しく揺さぶりを掛けていた。
しかし、「村上氏側は、自ら阪神の資産の売却に乗り出すにしても、鉄道事業に支障が出る恐れがある上、労働組合の大反発も予想される。戦後初の大手私鉄再編の引き金役を自らが果たしたとして『名誉ある撤退』で、株売却した方がお得とソロバンを弾いた」(関係者)もようで、29日までの買い取り価格交渉で村上氏側も譲歩。価格差は10円刻みの攻防に入っていた。
阪急があえて最終合意を待たずにTOB実施に踏み切った背景には、6月29日の株主総会に経営統合を諮るには5月末が実務上の期限だったほか、村上氏側に揺さぶりをかけて、さらなる譲歩を引き出す狙いがあるとみられる。
村上ファンドはこの日、TOBに応じるかどうかについて、「ファンド側の想定価格と開きがあり、経営統合効果の説明を聞いてから判断する」とのコメントを発表した。
さらに、阪急の提示した価格以上の条件を出せる第三者が敵対的TOBを仕掛ける可能性もあり、まだ流動的な要素がありそうだ。
ZAKZAK 2006/05/29