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独メディアによると、ホテルを斡旋(あっせん)するFIFA関連会社「WCAS」は大会スポンサーやVIP、各国チーム向けに数年前から200万泊分を予約。しかし、思うように注文が取れず、5月上旬までに100万泊分以上のキャンセルを通告した。
深刻な打撃を受けているのは、ホテル計76カ所8000室のうち、62%の5000室がキャンセルとなったベルリンだ。アインシュタインやトーマス・マン、マレーネ・ディートリヒら著名人が投宿し東西ドイツ統一の“象徴”であるブランデンブルク門近くに位置する最高級ホテル「アドロン・ケンピンスキー」まで、“犠牲”となった。
四つ星ホテル「エストレル」(全1125室)の場合、半数近くの予約のうち60%がキャンセルに。ホテル側は「注文を思うように取れないのなら、WCASは、その旨を事前に知らせるべきだった」(支配人)と怒り心頭だ。同ホテルの6月の利用率は通常68%だが、キャンセルの影響で50%以下に低迷。W杯期間中は「サッカーショー・イレブン」と銘打ち、特別割引キャンペーンをせざるを得ない状況だ。
一方、予約160室のうち数十室をキャンセルされた「シュタイゲンベルガー」は、「空室を埋めるために値下げをすれば、事前に(高額で)予約した別の顧客に失礼になる」(支配人)として値下げはしない方針。
ドイツでは毎年6月、会議やイベントがめじろ押しで、ホテル利用率は他の季節に比べて高い。だが今年はW杯が開催されるため予約は不可能と思われ、一般の予約は多くなかった。
WCASは本社所在地も不明で、独紙は「FIFA関連会社」としているが、英紙フィナンシャル・タイムズは「FIFAそのもの」との表現で批判している。
ベルリンの旅行マーケティング会社「BTM」は世界各地にホテル利用を呼びかけているが、W杯開催前にどれだけ回復できるか未知数だ。
【2006/05/28 東京朝刊から】
(05/28 09:55)