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閉校したのは、国際会計資格大手のANJOインターナショナル(東京)。帝国データバンクなどによると、同社は95年設立。受講生は社会人が多く、一時は東京や札幌、大阪、福岡など全国で11校を運営。派手な広告戦略でピークの00年12月期には売り上げは約20億円に達した。だが、急拡大路線が裏目に出て資金繰りに行き詰まり、5月16日に閉校。10億円余りの負債を抱え、事業譲渡や破産など事後処理を弁護士に一任した。
受講生の一人、東京都江東区の男性会社員(39)は昨年11月に受講料の全額の55万円を前払いした。実際に受講したのは予定の半分。閉校で講座を修了できなくなり、国の教育訓練給付金(最大20万円)の受給資格も失った。「経営内容は公開されていなかったが知名度があったので安心していた。全部受講生の『自己責任』で終わるのはおかしい」と憤る。
同社によると、現時点で未受講の講座がある受講生は約5500人。4月7日まで新規募集をしていたため、受講料40万〜80万円を前払いしたものの教材すらほとんど受け取っていない受講生もいるという。斎木修次社長は閉校1カ月半前まで募集していたことについて「経費削減で立て直そうとしていた。決して作為ではない」と弁明。「返金する資産はなく、他社への受講生引き継ぎのメドも立っていない」と話す。
こうした事態に、CPA取得最大手のU.S.エデュケーション・ネットワーク(東京)は、同等コースを75%引きにして希望者を受け入れる救済策を発表。プロアクティブ(同)は半額程度、TAC(同)も6割引きなどの措置を打ち出した。同業経営者の一人は「受講生投げだしはあまりに無責任。業界の信用失墜が怖い」と漏らす。
民間教育訓練施設を巡っては閉校で受講生が行き場を失う事態が続いている。今年1月には、約5400人の受講生を抱えた英会話スクール中堅、日本エヌ・シー・ビー(東京)が突然、閉校。被害者の会ができるなど波紋が広がった。業界団体の全国産業人能力開発団体連合会は「過去に例がない事態」と危機感を募らせる。受講生の需要が細分化し、ネット授業など教育形態の多様化も進んで、競争が激しくなっていることが背景にあるという。
同連合会によると、閉校に備えた保険や基金など制度的な受講生救済措置はなく、現状では同業他社の好意に頼るしかないのが実情という。
http://www.asahi.com/national/update/0527/TKY200605270214.html