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東大本郷キャンパス内の商業施設
赤門の奥に広がる文京区本郷の東大キャンパス。大学生協の食堂にはカレー230円、ラーメン240円といった格安メニューが並ぶ。そんな昔ながらの「学食」の一方で、最近増えているのが一般の飲食店だ。
カレーが生協食堂の3倍ほどする老舗(しにせ)の「松本楼」や、コーヒーショップの「ドトール」など、55万7千平方メートルのキャンパスに、レストランや喫茶店が14店。パンから家電まで買える生協の売店に24時間営業のコンビニ、旅行センター、郵便局や大手都銀3行の現金自動出入機(ATM)もそろう。都は「まるで『学ナカ』ビジネスになりつつある」。
国立大の法人化に伴う地方税法の改正で、大学法人が民間企業などに貸している土地や建物には、05年度分から固定資産税が課税できるようになった。都は大学の土地利用がより自由になったとして、課税に向けた評価額調査を進めている。
ターゲットは「ぜいたく施設」だけではない。四つある大学生協食堂や売店、自動販売機や電柱の敷地に至るまで目を光らせる。
大学によると、一足先に課税が済んだ目黒区の東大駒場キャンパスでは、電柱1本あたり1・7平方メートルの敷地の税額は年間4千〜5千円。大学が東京電力に敷地を貸して得られる収入1500円を上回った。課税対象の電柱は、駒場だけで50本ある。
そんな都の取り立てぶりに、東大財務部は「飲食店も売店も学生生活に必要不可欠で、大学の本来業務。理解がなさすぎる」と反発。評価が終わった駒場キャンパス分の課税額については、都に不服申し立てをしたが受け入れられず、提訴を視野に検討している。
都は強気だが、法の条文は個別のケースに触れていないため、自治体によっては解釈が異なる。千葉県柏市にある東大キャンパスの食堂は非課税になった。柏市は今後、改めて評価する予定があるとしつつも、「営利目的でなく教育の場の延長であれば、非課税と判断する」。国立大の中には、すべての飲食店や売店が非課税になっているところもあり、東大は「自治体によって対応がバラバラなのも変な話だ」と指摘する。
都は「課税するかどうかの判断は、あくまで使用形態による。大学教育の一環かどうかは関係ない」との見解だ。同じ食堂でも、大学直営ならば非課税というわけだ。
駒場キャンパスでの新たな課税額は05年度分が計約700万円。4兆円余の都税収入にとっては微々たるものだが、都は「地価が高い場所に、膨大な対象施設があるため見逃せない。公平性から厳正に課税する」と主張する。教育目的以外の施設は原則課税される、私立大との不公平感をなくしたい考えだ。
地方都市では国立大を地域のステータスととらえて尊重する傾向があるが、東京23区には大学がひしめいていることも、課税の考え方に影響している。
固定資産税の課税には、建物全体の評価が必要だが、本郷キャンパスには安田講堂など歴史的な建物が多い。これらの評価の基となる資料が残っておらず、測量などでかなりの手間と時間がかかる見込みだ。
だが、都内のほかの国立大のほとんどで課税のめどがついており、都は本郷キャンパスも今年度中に評価を終え、課税に持ち込みたい考えだ。
http://www.asahi.com/national/update/0527/TKY200605270200.html