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(藤浪繁雄)
今回の基準違反は、テレビ東京が三月二十二日に幼児番組「セサミストリート」、アイドル番組「ハロー!モーニング」内であったと発表してから、他局でも次々と発覚した。民放の通販番組で目立ったが、NHKの衛星(2)で放送された人気グループのライブ番組でもあった。
テレビ東京が、基準違反をどうチェックしているのか、訪ねてみた。
同局のプレビュー室。仕上がった映像を解析し、身体への影響度をグラフで表示する「点滅等検出装置」があり、各番組の担当者が連日、順番待ちで利用している。アニメ制作部の東不可止さんは「すべての番組を何らかの形で機械に通すようにしている」と説明し、「複数の人間の目視でも併せてチェックしています」と徹底ぶりを語る。
機械は最新鋭の英国製。一台約四百万円。ビデオテープを再生し、基準違反があれば、グラフが急上昇する。一目瞭然(りょうぜん)で、目視で確認できない瞬間的な違反も見逃さない。機械を通して、問題がない場合、合格を示す「PASS」の表示が出る。視聴者からの問い合わせに備え、チェックの記録として保管すると同時に、海外に番組販売する例も多いので、「万国共通の仕様となっている」(東さん)という。
違反部分があれば、直ちに制作現場に修正を指示する。アニメなら大胆な色使いを改める。実写番組なら該当部分をカットする。
今回の「セサミ〜」では、担当者が放送前のチェックで違反に気づいたものの、再編集を忘れたため放送されてしまった。同局では、今回の違反で、機械を新たに八台発注し、制作会社にも導入を勧めている。
ただ、制作の現場では一律的な厳しいチェックの徹底に戸惑いもある。例えば、ニュース映像では「話題の人物に強烈なフラッシュが浴びせられた映像を生放送できるか」、映画や芸術作品でも「編集権がない場合どうするべきか」など議論もあるようだ。
NHK衛星(2)のライブ番組でも、放送当時、局内で放送の可否をめぐり、議論が起きたという。「基準を逸脱している」と反対する技術系スタッフに対し、制作側は「午後十一時からの放送なので、(体調を崩す可能性のある)子どもは見ない時間帯だ」と主張し、放送に踏み切っていた。
東さんは「テレビは明滅の媒体。それが健康に影響を及ぼしてしまう体質の人もいるので、基準に沿った内容のものを出すしかない」と話す。
■『ポケモン』が発端
「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」と銘打った自主基準は、九八年四月に作成された。テレビ東京で九七年十二月に「ポケットモンスター」を視聴した子どもたちが、けいれんの発作などを発症し、全国で約七百五十人が病院に運ばれた事故を受けて定めた。
内容は(1)映像や光の点滅は原則一秒間に三回以内。特に鮮やかな赤色に留意(2)コントラスト(明暗)が極端な画面の反転や、輝度が激しく変わる場面転換も原則一秒間に三回以内(3)しまや渦巻きなど規則的な模様が画面の大部分を占めることを避ける−としている。
民放連の広瀬道貞会長(テレビ朝日会長)は二十五日の定例会見で、「NHKと民放そろって、どう対応するか、基本的なことを検討している最中に起き、非常に残念」とした上で、「もう一度ガイドラインをきっちり直したい。なぜこういう基準をつくるのか、守らないと健康にどのような問題が起きるのかを全社に説明し、趣旨を徹底したい」と強調した。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060526/mng_____hog_____000.shtml