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本田社長が会社の金を流用されたとして、広川被告の関連会社に約二十六億円の返還を求めた訴訟では、一、二審とも本田社長が勝訴している。無限の脱税資金の流出は十社ほどがかかわる関連会社間の複雑な資金移動の一つのようにも見え、はっきりしていない。
検察側は、広川被告の脱税について本田家の相続税対策と「本田宗一郎記念館」の建設費を工面したいとする本田社長の意向が背景にあるとして共謀の根拠とした。
しかし、判決では共謀が認められなかったため、「主犯」と認定された広川被告の明確な脱税動機が示されたとは言い難い。
確かに、社長なのに会社の経理を人任せにしていたとする本田社長の主張は、一般の感覚を超えており、事件を複雑にした面は否めない。しかし弁護側が「事件の本質はどこか。原因を究明しなくては」と話すように、全体像が解明されていない印象を与える判決となった。
(安藤恭子)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20060526/lcl_____stm_____002.shtml