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「ダ・ヴィンチ・コード」は全世界で6000万部以上発行された同名のベストセラー小説が原作。
問題視されているのはイエス・キリストが「娼婦」を暗示する「罪深い女」と呼ばれるマグダラのマリアと結婚、子供をもうけたという部分。物語ではその血筋は後世まで続いたとされている。
著者のダン・ブラウン氏もフィクションと認めているとはいえ、原作の冒頭に「事実」と書かれているからややこしい。
国民の83%がカトリック教徒のフィリピンはもちろん、インド、シンガポール、韓国などアジアを中心にボイコット運動が広がった。フィリピンの首都マニラや南太平洋のサモアで上映を禁止。ギリシャでは17歳未満の観賞が禁じられた。
米国でもカトリック系団体が全国紙USA TODAYに抗議行動を呼びかける全面広告を掲載し、映画配給元が関連会社のソニーの製品の不買運動を始める団体もあった。こうした封切り前の運動もしかし、さほど客足を鈍らせてはいない。
ロイター通信などによると、週末興行収入は「スター・ウォーズ エピソード3」に次ぐ史上2位の2億2400万ドル(約252億円)。カトリック圏のイタリアやスペインで両国史上1位の売り上げを記録。南米諸国でも国内史上1、2位にランクされた。
カトリック教会の総本山、バチカンの文化評議会議長ポール・プーパール枢機卿は同通信に対し「(宗教上の)基本的知識がないために寓話(ぐうわ)や空想と事実との判別が難しくなっている」と映画の中身が真実と誤解されることへの懸念を示した。
だが、「おカネでは買えない宣伝効果がある」といった映画関係者の言葉を知ってか知らずか、ローマ法王ベネディクト十六世自身は今のところコメントは控えている。キリストにまつわる秘密を隠すため殺人まで企てる組織として描かれたカトリック組織「オプス・デイ」も映画の冒頭に虚構であることを示すただし書きを付けるよう要請するにとどまっている。
米紙、ニューヨーク・タイムズによると、関連書籍に加えて、ゲームや料理本、ルーブル美術館ツアーなどが封切りに合わせて売り出された。
カンヌ国際映画祭の報道関係者向けの試写会では最大のヤマ場で失笑が漏れたとされるものの、今年最大の“話題作”の一つになるのは確実だ。
【2006/05/26 東京朝刊から】
(05/26 08:04)