2006年05月25日(木) 12時02分
自転車:違反、厳罰化 高校生、2人乗りで家裁送致へ−−県警 /神奈川(毎日新聞)
◇交通反則金適用なく、「公平さ欠く」の声も
自転車のマナー悪化を指摘する声が高まるなか、県内でも自転車利用者に対する取り締まりが厳しくなっている。県警交通部は「自転車といえども、悪質な法律違反は重大な事故につながる場合がある」として、取り締まりを続ける方針だ。一方、自転車には交通反則金の適用がなく刑事罰に直結するため、「処分が重く公平さを欠くのでは」との声も出ている。【伊藤直孝、吉住遊】
中原署は24日、自転車で2人乗りした川崎市立高2年の女子生徒(17)を道交法違反(乗車積載方法)の非行事実で摘発し、交通違反切符(赤切符)を切った。少年のため任意の取り調べを経て家裁送致する。
調べでは、女子生徒は24日午前10時半ごろ、川崎市中原区の市道で、知人女性(19)を自転車の荷台に乗せ2人乗りした疑い。女子生徒は署員に注意されたが、無視して約200メートル走り、別の署員に注意されても2人乗りを続けたため、同署に任意同行された。県警は22、23日にも同市内で2人乗りや信号無視の2人を摘発した。
県警が取り締まりを強化したのは、4月に警察庁から指示があったためだ。全国で05年に起きた自転車事故件数は10年前の1・3倍に増加。飲酒運転や歩道走行などマナーの悪化を指摘する声も高まり、警告に従わない悪質な違反者には、積極的に赤切符を切ることになった。
県警によると、県内で全交通事故のうち自転車事故の割合が高い地域は▽川崎市川崎区=36%▽茅ケ崎市=32%▽川崎市中原区、幸区=31%▽相模原市=30%(1〜4月)。地形が平たんで主要駅から住宅地まで距離が遠いなどの共通点がある。県交通安全対策協議会は今月1日、川崎市中南部の4区などを自転車交通事故多発地域に指定した。最も事故比率が高い川崎区を管轄する川崎署では24日、繁華街などで自転車利用者にビラを配るなど広報強化に乗り出した。
課題もある。自動車の軽微な違反は通常、反則金を納付する代わりに刑事立件されない「交通反則通告制度」という行政処分の手続きを取るが、自転車は同制度が適用されない。刑事罰の対象になり、摘発されると罰金刑を受ける場合もある。捜査関係者は「自転車にも反則通告制度を適用するなど、何らかの制度改正が必要ではないか」と話している。
5月25日朝刊
(毎日新聞) - 5月25日12時2分更新
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