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「大変衝撃的だ。決算見込みが(下方に)振れすぎた」
二十四日の決算発表の席上、生田正治総裁は苦しい表情で郵便事業の大幅減益の理由説明を強いられた。三月の定例会見で二百四十三億円と公表していた最終利益が、ふたを開けるとわずか二億円に。二百四十一億円もの“下方修正”だ。今期は民営化対策経費の計上もあって、赤字転落のおまけまでついた。
「費用が問題なんだ。これだけ(コスト削減の)努力をしても経済効果が出ていない。収益管理の取り組みが不十分だった」
「ゆうパック」の拡大戦略に伴う現場の繁忙に対処するため各郵便局で雇ったパート職員の人件費が想像以上に膨らんでしまった。「現場の局長が、コストを無視して無計画に人手の確保に走った結果」(公社幹部)だ。官業公社の悪い面が出た格好だ。
郵政公社発足後、生田総裁の経営手腕に評価が高まったのは赤字体質の郵便事業を初年度から黒字に転換したこと。だがそれは、競争入札の導入など民間相場より割高なファミリー企業群などの取引業者との取引を見直し、大幅なコストカットを断行したためだ。
生田総裁は「ぬれた手ぬぐいを絞ってきたが、だいぶ乾いてきた」と打ち明ける。コスト削減努力はしているが郵便物の減少スピードに追いついていないのだ。
〇五年度の引き受け郵便物数は前年度比0・7%減の二百四十八億千八百六十一万通と四年連続で減少。売り上げの増加が見込めない以上、一段の合理化は避けられない。しかし、現状では約二十五万人の職員は国家公務員という身分に守られ、リストラとは無縁。特定局長の特権の見直しを軸とした郵便局改革案は全国特定郵便局長会の猛烈な抵抗にあっている。約千局の集配郵便局での集配業務の廃止を軸とした集配局網の再編計画も地元自治体の抵抗にあい、立ち往生している。
民間のライバル他社の追い上げも激しい。ヤマト運輸グループは今秋、主力の宅配便に次ぐ第二の柱にメール便を育てようと料金体系の刷新を中心とした大幅てこ入れに乗り出す。通常郵便物や冊子小包のパイが奪われるのは必至だ。
ヤマトと比べ収益力で劣る郵便事業がこのまま健全化できないと将来、郵便料金の値上げという形で国民負担につながる恐れも出てきた。「ライバルがいるかぎり値上げなんてできっこない。顧客離れを招くだけだ」と公社幹部の焦りの色は強まっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20060525/mng_____kei_____008.shtml