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毎夏、三日間で延べ十万人を超える来場者でにぎわうフジロック。国内外のミュージシャンがそろう、日本有数の大規模な野外イベントとして知られる。音楽プロモーター「SMASH」代表の日高正博さんが企画。一九九七年、富士山のふもとの富士天神山スキー場(山梨県)で初回を催したのでフジの名が付いたが、九八年の東京・豊洲を経て、九九年から現在の苗場に会場を移した。
今年も広大な敷地に、大小合わせて九つのステージが登場。その中のジプシーアバロンステージは昨年から、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を極力減らすため、軽油の代わりに植物性油の燃料を使ったバイオディーゼルによる発電を導入した。今回は、もう一カ所同様のステージを増やす予定だ。
フジロックは、これまでも太陽光などクリーンエネルギーによる発電を試みるなど、日本では珍しいライブ形態に挑んできた。日高さんは「まずは、環境に与えるダメージを和らげようと努める私たちの考え方や姿勢を、お客さんに知ってもらうことから始めた」と狙いを語る。
さらにここ数年は、英国の国際環境保全企業「フューチャー・フォレスト」(※参照)から、イベントで予想されるCO2の排出相当量を吸収する樹木千本前後を主催者が購入、世界規模の植林活動にも貢献している。
フジロックは当初、環境に優しいどころではなく、ごみの山からのスタートだった。九七年、初回の天神山会場は、大型台風の襲来で横殴りの暴風雨に。約三万人が集まり、一日だけライブを敢行。終了後、会場は泥まみれのごみであふれた。
日高さんは「不運にも台風に遭った初年。お客さんにとっても足場が悪く、荷物になるからと、帰り際にごみを捨てていく人が多かった。キャンプ道具もそのまま捨てられ、ぐちゃぐちゃ。ごみを片付けるのに一週間、経費だけでも一千万円はかかった」と振り返る。
一年目の苦い経験を反省し翌年から、来場者へのごみの持ち帰りを強く呼び掛けるなど野外ライブを通じ、環境に対する意識啓発に乗り出した。以来、ペットボトルを再生したごみ袋をボランティアらが配ったり、場内の飲食店で使用された紙皿も再生して肥料にしたりするなど、資源のリサイクルにも努めている。
■WOWOWで放送
一連の環境保全の活動は、来場者の“意識”にも浸透し、ごみを持ち帰る習慣がつくなど、苗場スキー場周辺の住民からもマナーの良さが評価されているという。初回から毎年ライブの模様を放送するWOWOWの音楽部・山田卓音楽課長は「音楽だけじゃなく幅広い取り組みは、ブランド性を高めている」と番組ソフトとしての魅力を話す。
ただ、野外ライブでの自然保全にしても「限度がある」と日高さん。目指すところは、「ライブでの取り組みに、来場者が興味を持ってもらうことが第一。ごみを出さないようにするとか、ここで得た経験を自分の実生活に役立ててほしい」。
フジロックは、今年も国内外から百二十組以上のアーティストが集結する。米国のロックグループ「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」や、初出演の加藤登紀子など、豪華な顔触れも。また、十年目を記念し、「フジロック展覧会」が、六月九日から二十日まで、東京都渋谷区の渋谷パルコ パート3・七階「パルコミュージアム」で開かれる。入場料五百円(小学生以下無料)。詳しくは、http://fujirockfestival.comまで。
※フューチャー・フォレスト 1997年、音楽業界出身のダン・モレルとマーケティング業界出身のスー・ウェランドによって設立。地球温暖化の原因のCO2の排出量を差し引きゼロにする「カーボン・ニュートラル」を実現するため、企業や個人に植林活動や自然エネルギー利用を仲介するというユニークなビジネスで急成長を遂げているベンチャー企業。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20060524/mng_____hog_____000.shtml