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捜査本部は容疑者もしくは不審者に関する情報を一切、明らかにしていない。しかし、犯人にたどり着く最も“近道”を「白い軽乗用車」とみて、目撃情報の収集や分析作業を急いでいる。
警察の捜査が進むなか、周辺の住民の間では、20日ごろから「近所の女が容疑者だ」とまことしやかにささやかれている。
「もう、あとは物証がそろえば捕まえられるんだって。時間の問題だね」と話すのは藤里町に住む40代の農業を営む女性。旧二ツ井町(現・能代市)の理髪店店主は「きのう、警察が事情聴取をしたんだって」と、どこから聞いたのか、根も葉もない“捜査情報”談義に花を咲かせている。
多くの周辺住民が語るのは「あの女は、二ツ井の飲食店街にある一番大きいバーで勤めていたことがある」というホステス説。うわさは飲食店街はもちろん、周辺の若い女性からおばあちゃんまでほぼ同じストーリーを語っており、「女」の普段の素行から「犯人だ」と断定している。
取材を進めると、「近所の女」の名前は実在することが判明した。周辺では不審者や車両の目撃証言がないことから、「土地勘のある顔見知りによる犯行の可能性が高い」と一部マスコミで報じられたため、住民の間でうわさに真実味が出てきたようだ。
「近所の女」が勤めていたと指摘されたバーに話を聞くと、ママは「そんな名前の女性は雇ってないよ。一切、記憶にない。どうしてうちの名前が出ちゃったんだろうね。新聞や週刊誌の記者が次から次へとやってきた」といらだちを隠せない様子だ。
さらに不思議なのが旧二ツ井町に隣接する別の町でも「犯人の『女』が、この町の飲食店街で勤めていたことがあるとお客さんから聞いたわよ」(スナックのママ)とまったく同じようなうわさが発生していた。だが、いずれも「女」を雇用していた店は見つからず、うわさの真偽は不明のままとなっている。
一方、「近所の女」と同姓同名の女性は、「人の目を気にして、ずっと家から出られない状態が続いている。ヤジ馬根性丸出しのおばあちゃんたちが、軽(自動車)で様子を見にくることもある」(近所の住人)という。
実際、女性の様子を見に来ていたおばちゃんに声をかけると、一通りのストーリーを話した後、「またネタを仕入れてきて教えてやる」と手を振って去っていった。事件の長期化で小さな町の住民たちが“記者”となる異常事態はいつまで続くのか−。
ZAKZAK 2006/05/24