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57歳の女性会社員。20代半ばで離婚し、心身共に寂しかった時、会社で妻子ある男性と出会いました。彼は優しく包み込むように私に接してくれました。
わがままは何でも聞いてくれ、私が会社でトラブルを起こせば仲裁もしてくれました。彼の出張について行き、観光旅行をしたこともありました。私中心の毎日で、幸せいっぱいでした。
彼が「そろそろ一緒になろう。何とかしなくては」と言ってくれたころ、不倫関係が父親に知れ、会社も辞め、実家に戻りました。
その後再婚し、今の夫に不満はありません。しかし彼に会いたいという気持ちが強くなってきたのです。住所も電話番号も覚えています。一度電話したら奥さんが出たので切りました。
先日、居ても立ってもいられずに、彼の家の前まで行きましたが、出てきませんでした。帰り道、なぜ、ベルを押さなかったのか後悔しました。自分の気持ちに正直に生きることはいけないことでしょうか。(長崎・W子)
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かつて不倫関係にあったた時、優しく包み込んでくれた彼に会いたいというご相談ですが、それには賛成できません。彼は完璧(かんぺき)な恋人だったのでしょう。しかし完璧な恋人は、完璧な夫にはなり得ないものです。恋人同士という距離感があったからこそ、そして不倫という環境で、始終会えなかったからこそ、すてきな彼だったのではないでしょうか。
日々共に暮らすということは大変なことです。相手の見たくない部分を見、聞きたくない言葉だって聞くことになります。自分にとって完璧ではなく、理想通りではない相手のありのままを受け入れるのが愛、まあ仕方ないか、と半ばあきらめつつも不完全さにいとおしさが加わるのが結婚ではないでしょうか。
彼と一緒になっていたら、きっと彼の印象は変わっていたでしょう。57歳、心の中にときめきを持ちたいという願望が彼と再会したいという望みにすりかわっているのでは。彼への気持ちと情熱を、あなた自身のクリエイティブな何かに変化させ、すてきな熟年を過ごして下さい。
(海原 純子・心療内科医)