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[内臓脂肪症候群]「なめてはいけない『お腹のサイズ』」
お腹(なか)の出具合が気になった人は少なくないのではないか。
厚生労働省の最近の発表によると、中高年男性の2人に1人は「内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)」か、その予備軍なのだという。
お腹、とりわけ内臓の周囲に脂肪が溜(た)まり、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの重大な病気になる恐れが高い状態を指す。
日本内科学会などが作った診断基準に基づいて厚労省が判定した。ウエストが男性は85センチ以上、女性は90センチ以上で、さらに血圧、血中脂質、血糖の3項目のうち2項目の数値が高い人が該当する。1項目だけの場合は予備軍となる。
発表によると、予備軍も含めると、該当する人は、40〜74歳の中高年世代では2000万人近くに上る。女性は5人に1人で、多いのは圧倒的に男性だ。
お腹は出ていても健康、という人は多い。診断基準には該当していても、必ずしも脳卒中になるわけではない。
ただ、症候群の人は、心臓血管系の病気発症が倍以上に増えるという調査もある。運動不足や不規則な食事、栄養の偏り、過食といった、現代人特有の問題点も以前から何度も指摘されている。
今回のニュースにドキリとしたのなら日常の生活を、ぜひ見直したい。
それにしても、内臓脂肪症候群とは聞き慣れない用語だ。これまでは、肥満や太りすぎと言えば、「肥満度指数(BMI)」という数値が使われてきた。
体重を身長(メートル)で2回割った数値で、25以上なら「肥満」、25〜18・5は普通、18・5未満は「やせ」となる。
しかし、BMIは筋肉が多い人も高くなる。これだけでは脂肪のことは分からない。そこで、国際的に内臓脂肪症候群が注目されるようになってきた。
日本の基準は昨春できたばかりで、裏づけとなるデータが足りない、という批判もある。だが、過剰な内臓脂肪の影響は、急速に解明されつつある。
例えば、内臓脂肪を溜め込む脂肪細胞は、単なる貯蔵器官ではない。体調の維持に重要な役割を果たす様々な物質を出していることがわかってきた。血液を固める物質や、血糖値の調節にかかわるたんぱく質もある。
脂肪細胞が“肥満”すると、こうした物質が適度に出ない。その結果、血管が傷んだり、糖尿病になりやすくなったりする。多すぎる内臓脂肪は害なのだ。
肥満先進国の米国では、食べ過ぎを抑えるため、胃を縮小させる手術まで広く行われている。日本の肥満率は少ないと言われるが、食事を含めて生活は大きく変わりつつある。油断はできない。