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「共謀罪」法案をめぐる動き
与党と民主党は再び修正協議に入る構えだが、共謀罪が適用される対象犯罪などで隔たりは大きく、政府・与党側では「もはや歩み寄る余地はない」という見方が大勢。首相は会期延長には依然、否定的だ。議長を巻き込んだ収拾策をとったことで与党は採決を強行しにくくなり、会期内成立の見通しは立たなくなった。
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「国対委員長は現場から突き上げられて苦労している。励ましてほしい」。小泉首相は19日夕、首相官邸で自民党の武部勤幹事長にこう語りかけ、国会運営の指揮をとる細田博之国対委員長を思いやってみせた。
だが、「共謀罪」を盛り込んだ法案を19日に採決するという細田氏の強い決意をその日の朝になって覆したのは、当の首相の「鶴の一声」(党幹部)だった。
19日午前10時半。国会内で細田氏は、公明党の東順治国対委員長らと会っていた。「きょうの採決はしない」。関係者によると、細田氏はこう切り出した。採決に反対する民主党を相手にともに戦ってきた公明党には寝耳に水だった。
細田氏はこの後、自民党の矢野哲朗参院国対委員長、青木幹雄参院議員会長と相次いで会い、この方針を説明。その際、河野洋平衆院議長に調整を委ねる考えを示した。
細田氏と東氏はこの後、河野氏と会談し、民主党の渡部恒三国対委員長との仲裁を求めた。国会空転の際に議長が事態収拾に乗り出すことはしばしばある。だが、委員会の採決前の段階で議長が動くのは、極めて異例の事態だ。
議長とすれば、仲裁を求められれば「話し合いを続けて」と言うしかない——。河野氏の周辺は「議長は乗り気ではなかった」と明かす。
一方、午後1時開会の法務委員会では、こうした動きが十分に伝わらぬまま質疑が続けられていた。採決に移る気配がないので与党理事の一人は国対に電話をかけ、「どうなっちゃってるの?」。返事は「粛々と質疑して下さい」だった。
午後3時過ぎ、そのまま委員会が終了すると、法案を提出した杉浦法相は「何が起こったのか分からない」と首をかしげた。
自民党幹部の一人は、首相の意向と民主党の強硬姿勢に板挟みになった細田氏らについて「困り果てた揚げ句、議長にお願いしたということだ」と指摘し、「漂流国会だ」とつぶやいた。